司法試験・予備試験・ロー入試に役立つブログ

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【保存版】法学部・ロースクール時代に買ってよかったもの8選(教科書等以外)

こんにちは、コポローです。

新学期シーズンになりました!

そこで今回は、私が法学部・ロースクール時代に買ってよかったものを8つ厳選して紹介します!!

何か少しでも参考になればと思います。

 

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(1)スタンディングデスク

法律の勉強をしていると、どうしても長時間座りがちですが、座りすぎていると寿命が縮むというエビデンスがたくさんあります。

わたしもそれを知って、スタンディングデスクを購入し、ときどき立って勉強するようになりました。

今では、立って勉強するほうが集中できるので、基本は立って勉強や仕事をし、疲れたら座るようにしています。

 

私が自宅で使用しているものです(簡単に昇降できます)↓

 

様々なサイズやタイプのものがあるので、比較検討してみてください!

 

 

(2)オカムラの椅子

昔は安物の椅子を使っていましたが、ロースクール時代に腰が痛くなってきたので、思い切って高品質なオカムラの椅子を買いました。

椅子は姿勢に影響し、疲れやすさにも大きく関係するので、とても重要です。

最近、在宅時間が非常に長くなり、座る時間も多くなりましたが、椅子のおかげで快適です。

少し高くても、投資だと思ってよいものを購入することをお勧めします!

椅子などの家具は長期間使うので、十分ペイしますよ!

 

私が現在使っているモノです↓

 

(3)ルンバ

ロースクール時代は忙しく、掃除する時間的余裕がありませんでした。

しかし、喘息持ちなので、掃除はどうしてもかかせません。そこで、ここでも思い切って、お掃除ロボットのルンバを購入してみました。

その結果、掃除の時間が大きく削減され、時間の余裕ができました。

ルンバは、今までで買ったなかで最もコスパの良い買い物であったといっても過言ではありません。

最近では、さらにコスパがよい製品が出ました↓

 

(4)ボイスレコーダー

法学部やロースクールの授業では、教授の話すスピードが速く、ノートを授業時間内にとりきれません。また、集中力が途切れて聞き逃してしまうことも多くありました。

そこで、ボイスレコーダーで授業を録音して、復習に役立てていました(京大法学部・京大ローではボイスレコーダー所持率が高かったです)。

私は、ボイスレコーダーを使うようになってから、成績が急激に伸びました。

通学中や散歩中も聴けるという点も、便利です

 

私はオリンパス製を使っていました↓

 

 

 

(5)常備おやつ(チョコレート効果&ミックスナッツ)

勉強をしていると、おなかが空きますよね。

私は健康を非常に重視しているので、健康的なおやつを常備していました。

こちらの記事でも紹介しているとおり、おすすめは高カカオチョコレートミックスナッツです。

 

私は下記のものを常備しています(笑)

 

 

2023年最新版【厳選】予備試験(論文・口述)法律実務基礎科目(民事・刑事)のおすすめテキスト・参考書

こんにちは、コポローです。

今回は予備試験の論文試験・口述試験の科目である、法律実務基礎科目(民事・刑事)おすすめのテキスト・参考書を厳選して紹介します。

 

少しでも参考になれば嬉しいです!

(本記事は広告を含んでいます)

 

 

〇まず民事に関しては、最初に手をつける本として、いわゆる「大島本」の基礎編が非常におすすめです!! もはや鉄板です。

 

※レビュー抜粋

司法試験予備試験の法律実務基礎科目(民事)の基本書の一つ『新版完全講義民事裁判実務の基礎 入門編(第2版)』(2018年10月刊行、以下『前書』という。)を改題したもので、実質的な改訂版。以下、2023年4月発売の本書を前書と比較する。

税抜定価は、前書3,800円から本書4,000円へ値上げ。前書の本文502ページに対し、本書は本文420ページとスリム化。前書にあった演習問題が本書には掲載されていない。演習問題は、同じ著者の手になる『完全講義法律実務基礎科目[民事](第2版)』(※本ブログでも下記で紹介しています)に委ねる趣旨である(「本書の構成」より)。

本文中には、附帯請求や債権者代位、請負などについての記載が追加されている。さりげなく94条2項類推や民事執行・保全の辺りも記載が若干増量。その反面、前書にあった定期建物賃貸借や実質的証拠力などの記載が本書では省かれている。また、前書では2講に分けて記載された事実認定と書証が1講にまとめられてスリム化されている。法曹倫理は付録の位置づけとなり、活字が若干小さくなった。
前書のユーザーに対しては、何が何でも本書に買い替えるべきとまでは言い難いが、現在の予備試験を意識しての改訂だけに、予備試験の受験生なら買い替えても損はないかもしれない。

 

※改題前の本はこちら☟

新版 完全講義 民事裁判実務の基礎[入門編]〔第2版〕─要件事実・事実認定・法曹倫理

※レビュー抜粋

★良い点
・非常にわかりやすい。
・基礎的な内容である。
☆悪い点
・入門編と発展編を分けている点,また,その分け方。
著者は,「認定司法書士は入門編のみで足りる」と述べているが,認定考査の問題を見ていないのでしょう。入門編では足りませんので,発展編も必ず読みましょう。

 

 

 

〇大島本の基礎編・入門編だけでは、予備試験レベルではやや不十分なので(とくに最近の予備試験は競争率が高いですし)、入門編の次に『完全講義 民事裁判実務の基礎〔第3版〕(上巻)』も読みましょう!(司法修習や実務に出てからも役立ちます)

読み物風で多くの情報が詰め込まれていて、読むだけで自然に知識が増えると思われます。

・私は、法科大学院での民事裁判実務の授業、予備試験対策の目的で本書を購入しました。特に、予備試験の口述との関係では、本書はマストバイだと思います。本年度の口述でも、本書のadvance記載の要件事実が問われました。

・要件事実のみならず、改正民法の理解が深まります。詳細な民法の教科書を読むより先に、こちらを勉強したほうが効率的かもしれません。

 

 

 

〇アウトプット教材としては過去問を活用しましょう。ここでも、大島先生による過去問解説と参考答案が秀逸です。

2023年3月に第2版が出ました!

 

 

※旧版レビュー抜粋☟

非常に安価に予備試験、民事実務基礎過去問の裁判官の参考答案を入手することができます。参考答案はわかりやすいです。私個人的には、解説は不要でした。参考答案のみで理解できました。

・予備試験前の一気に復習に最適!

 

 

〇刑事は『刑事実務基礎の定石』が定番かつ必須級におすすめです!

 

 

 

※レビュー抜粋

・予備試験口述対策のために購入しました。口述はこの本だけでは足りず、刑法の基本書をこなす必要がありますが、予備論文の刑事実務の対策としてはこれ一冊で十分なのではないかと感じます

予備試験一発合格した者です。予備試験の勉強でとてもお世話になりました。この本を通読した後に過去問を1週して、直前期にこの本だけ読みこみ過去問を周回しました。他には予備校の講座等は受けていません。本試験では刑事実務科目はA評価で、口述も同様に使い勉強し最終合格しました予備試験合格に必要な知識はすべてここに詰まっています。この本を使って刑事実務科目でよい評価が取れなかったら明らかに勉強の方法に問題があると思います。

 

 

〇刑事も、アウトプットは過去問をしっかりこなしましょう!

過去問の解説や解答例は下記の2冊のいずれかを参照すると良いでしょう。

(1)伊藤塾の刑事実務基礎

伊藤塾による紹介文↓

予備試験の「法律実務基礎科目」を2か月で攻略できる問題集、改訂!
予備試験合格者数で圧倒的実績の伊藤塾が贈る予備試験対策問題集の決定版。
過去問と伊藤塾オリジナル問題を使って、合格への最短コースを示します。
2021年の予備試験論文問題を含む答案例とA評価の優秀答案を全年収録。
刑法・刑事訴訟法の改正にも対応した最新版!

【短期間で高い学習効果が得られるための4大特長】
1.本試験過去問を徹底的に分析。ゴールから逆算した合格への最短コースを示す。
2.本試験問題および本試験と遜色のない伊藤塾オリジナル問題を厳選して登載。
3.合格者の「思考過程」欄および実体法上の知識や実務基礎科目特有の知識を
コンパクトに整理した【Festina lente】部が初学者をサポート。
4.答案例と受験生によるリアルな答案によって、答案の書き方が身につく。

 

※レビュー抜粋

・問題、解答例付きの実務科目問題集だけでもポイントが高いですが、終わりに頻出部分の重要ポイントまとめがあるので、直前期見返したいけど、基礎7法で手一杯というときにもサラッと総復習ができます。

 

(2)辰巳法律研究所の法律実務基礎科目ハンドブック

 

 

 

辰巳法律研究所による紹介文↓

大好評の司法試験予備試験法律実務基礎科目の本格的試験対策書。平成28年刑事訴訟法改正、その他最新の法改正に対応、近時の論文式試験の傾向を踏まえ、事実認定について、事実認定総論、犯人性の認定、証拠構造等をリニューアルさせた待望の改訂版が登場です。

法律実務基礎科目(刑事)の問題で出題される可能性のある刑事手続、事実認定、法曹倫理に関する情報を、表などを使いわかりやすくまとめて収録。法科大学院での学習内容をカバーできるだけの内容が盛り込まれています。平成23年~令和元年の論文本試験問題&解説、出題趣旨、合格者による口述再現ドキュメントも掲載しています。 また、本書の内容は、司法試験論文式試験の刑法・刑事訴訟法の学習にも役立ちます。

受験生にとって重要な刑事手続(第1部)、事実認定(第2部)、論文式試験について(第4部)に関しては、新庄健二先生(弁護士・元東京高検検事・元司法研修所教官・元司法試験考査委員・元明治大学法科大学院特任教授)に御監修していただいています。

 

 

 

 

 

 

 

 

今回の記事は以上です。

本記事は随時更新していく予定です(^^♪

それではまた!

 

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【厳選】会社法の学習に役立つおすすめノンフィクション3選

こんにちは、コポローです。

今回は、夏休みスペシャル(少し遅くなってしまいましたが)として、会社法の学習に役立つおすすめのノンフィクションを厳選して紹介します。

 

会社法は、刑法や民法と違い、非日常的なテーマを扱っているため、学生さんにはイメージがわきにくいです(私もそうでした)。

 

企業活動そのもの、M&A敵対的買収株主総会、取締役会、株式市場、物言う株主などに関するイメージが持ちやすくなれば、勉強もしやすくなると思います。

 

そこで、今回は、会社法の学習(イメージ理解)に役立ち、かつ、おもしろいノンフィクションを3つ厳選して紹介します!

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(1)関西スーパー争奪ドキュメント混迷の200日

2021年のニュースをにぎわせた関西スーパー争奪戦に関するドキュメント。

企業買収や株主総会についてイメージをつかめます。

ストーリーもめっちゃ面白いです(業界の闇も垣間見えます)。

 

 

 

※出版社による紹介

「スーパーの教科書」と呼ばれた関西スーパーを巡り、阪急阪神百貨店を展開する関西地盤の「エイチ・ツー・オー リテイリング」(H2O)と、関東圏のディスカウント大手「オーケー」は熾烈な争奪戦を繰り広げた。
関西スーパー争奪戦」として産業界の注目を集めたこの問題は、なぜ混迷を極め、司法判断は揺れたのか。経営統合を巡る激しい争いの裏で、何が起きていたのか。H2Oとオーケーの思惑、争奪戦の教訓、そして、「関西フードマーケット」として再出発を遂げた関西最大級のスーパー連合の新たな戦略とは?
株式交換TOBの対決に始まり、臨時株主総会での0.02%という僅差での可決、そこでの票の取り扱いについて最高裁での法廷闘争にまで発展した「関西スーパー争奪戦」は、同時に、政策保有株式や議決権の取り扱いなど、日本特有の総会運営のあり方の問題点を浮き彫りにした。
争点となった総会での未公開のやりとり、各社長へのインタビューなども収録。怒涛の200日に迫る。

 

Amazonレビュー抜粋

オーケー、関西スーパー、H2Oの当事者だけでなく、投資家や株主、取引先それぞれの視点から本件をとらえていて、わかりやすかった。

・ニュースで見ていたことの経緯が客観的にうまくまとめてあり、私自身は関東在住でオーケーの愛用者だが、なぜここまで関西スーパーにオーケーが強い思いを持っていたのかが、この本を読んでわかった。日本の株主総会の課題についても、よく理解することができた。

・社長インタビューなど資料的価値もあり、丹念な取材をもとに書かれたことがわかりました。争点となった株主総会での手に汗握るような攻防など、興味深く読み進めることができました。

 

 

 

(2)決戦!株主総会 ドキュメントLIXIL死闘の8カ月

日本企業のコーポレート・ガバナンス上の諸問題について学べます。

そして、ストーリーがめちゃくちゃ面白い!

 

 

出版社による紹介文

「辞任させられたCEOが挑んだ勝ち目のない戦いは類例を見ない大逆転劇を生んだ。ドラマよりドラマティックな企業ノンフィクションの新たな傑作!」

 

Amazonレビュー抜粋

ガバナンスについての抽象論に終始する書籍では真にガバナンスが必要な理由がわからなかった。ここまで詳細にガバナンスの機能不全の原因と経緯について記した書籍は貴重であると思う。

ビジネス小説でもこのようなストーリーを描くのは難しいのではと思うくらいの展開で一気に読み進められる一冊です。ドキュメンタリーとしてドラマ化して欲しいと思います。また、瀬戸氏の恩師の「へばったら頑張れ」という言葉が胸に刺さりました。あと、会社側提案の取締役候補が一部の方を除き、過去の栄光で生きているという人たちで、よくもこういう人を集めて来たなとあらためて感心してしまうと同時に、この人たちの人間性が分かるような表現が随所に見られ、人としての晩年の生き方も学べた気がします。

事実は小説より奇なり。ドラマの様な展開だった。それほど古い話ではない事柄を実名で書かれているのでほぼ事実と思われる。著者も訴訟のリスクもありますしね。実際、ここで登場する会社側、元経営者の人間性や資質に関しては今後にも影響するんだろうと思わせる方もいた。感情の部分に関しては、若干脚色してるのか、著者の思いが先行しているかも? 一気に読める興味深いドキュメントです

まさに「半沢直樹」のような展開で、一気に読ませる一冊でしたまた冒頭に、「コーポレートガバナンス」がテーマだとあり、ややこしそうにも思いましたが、読んでみると、コーポレートガバナンスとそれをめぐる日本の現状への書き手の理解が深く、問題点が非常に明快になり、わかりやすく理解することができました。読んでいると、そもそも当初から瀬戸氏側が粘っても勝ち目が薄く、負ければ負けたでプロ経営者としてのダメージが大きいという中で、義憤の一点で、よくやり通したなという感じがします。

 

 

 

(3)村上世彰『生涯投資家』

著者は村上ファンドの主宰者として2000年代に活躍し、最近も多方面で活躍中。

批判も多い著者だが、投資家(とくにアクティビスト投資家)が何を考えているかについてよく分かる良書。

また、日本のコーポレートガバナンスの課題もよく分かる。

 

 

Amazonレビュー抜粋

・現実に起こった事を著者の視点で書かれているのですが、スケールが大きい話が沢山出てきて、物語の様に楽しめました。一気に読んでしまいました。ご本人の事を知らなくても、楽しめると思います。個人的には投資を行う心構えなど、考え方など色々勉強になりました。おすすめの一冊

・会社は株主のものであり、株主の立場や在り方を世間に周知させた村上氏の功績は高いと推量する。上場する事の意味と意義を理解していない経営陣が殆どである事も事実である。ROEの重要性や非事業性資産の是非も指摘されて当然だとも思う。

・著者をテレビなどメデイアで昔から知っていたが、良いイメージがなかった。しかし、初めて当時の背景を読んでなるほど、そこだったのか!また、著者の心理に触れること日本経済がどうすれば良かった?今後どうすれば良くなるか?わかりやすく説明されている著書
著者への印象が180度変わった。読んで良かったと思った1冊

 

マンガ版もあります!

 

 

 

 

今回の記事は以上です。少しでも、みなさんの参考になれば嬉しいです!

それではまた!

 

 

 

 

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【まとめ記事(リンク集)】2023年予備試験の出題分野予想【基本七法】

本ブログでは、2023年(令和5年)予備試験の出題分野を予想する記事を連載してきました。

今回は、読者の便宜のため、まとめ記事(リンク集)を作りました。

ブログ記事も参考に、穴のないよう試験まで準備を進めていただければと思います!

試験まで、あと少しです。体調に気をつけながら、頑張ってください!! 

 

 

 

 

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2023年(令和5年)予備試験の出題分野予想【行政法】

こんにちは。

今日は2023年予備試験【行政法】の出題分野を予想します。

 

予備試験の出題は、原則として、過去3年程度の過去問(司法試験を含む)と出題分野が重ならないように配慮されているといわれていますので、まず、過去3年程度の出題分野は予想から除外します。

過去の出題分野は下記の通りです(過去問をまだ解いていない人はネタバレを含みますので閲覧注意です)。

 

 

 

 

 

司法試験の出題動向(出題の趣旨からの抜粋)

令和4年

林地を開発して一定規模以上の事業場を設置するためには、森林法(以下「法」という。)第10条の2第1項に基づく都道府県知事の許可(以下「開発許可」という。)が必要となる。本問は、A株式会社(以下「A」という。)がB県C市に所在する自己所有地を中心とする区域を事業の用に供するための大規模な開発行為(以下「本件開発行為」という。)に関し、開発許可に係る申請前の段階から開発許可後の開発行為に関する工事の完了までの一連の行政過程の中で、C市や地域住民との間で生じる法的問題について検討するものである。
本問では、Aの申請に係る開発行為の許否を決定する審査段階で行われた、B県担当課長とB県法務室長(弁護士)との【検討会議の会議録】を読んで、地域住民や地権者が原告となって提起することが想定される取消訴訟の訴訟要件と本案の主張に関する法的問題のいくつかについて同法務室長の立場から検討することが求められる。
まず、【設問1】⑴は、Aの申請に係る開発許可の取消訴訟を第三者が提起する場合における原告適格の存否を問うものである。本問では、仮に、B県知事がAの開発行為を許可した後、開発区域内外の土地所有者で立木所有者であるEと、開発区域を水源とする沢(以下「本件沢」という。)に沿って本件開発区域外に居住する者で過去に溢水等による浸水被害を受けたことがあり、かつ、本件沢から取水した水を飲料水や生活用水として使用するFの2名が原告となって同許可の取消訴訟が提起されることを想定し、最判平成13年3月13日民集55巻2号283頁を参考にして、同訴訟におけるE及びFの原告適格の存否を問うものである。行政事件訴訟法第9条に基づき、法第10条の2等の規定を踏まえ、E及びFのそれぞれについて原告適格の存否を検討することが求められる。
次に、【設問1】⑵は、Aの申請時点では開発区域内の土地所有者であるEは本件開発行為に同意していなかったが、仮にEが同意に転じ、Fのみが前記許可の取消訴訟を提起した場合を想定し、同訴訟の係属中に本件開発行為に関する工事が完了した後においても、Fに訴えの利益が認められるかを問うものである。このような場合の訴えの利益はゴルフ場建設を目的とした開発許可の事例に関する最判平成7年11月9日集民177号125頁によれば否定されているが、その理由が必ずしも明確ではない。そこで本問では、建築確認の取消訴訟係属中に当該建築物の建築工事が完了した事例に関する最判昭和59年10月26日民集38巻10号1169頁を参考にしつつ、開発行為に関する工事の完了による開発許可の法効果など、法の仕組みを踏まえ、Fの訴えの利益が否定される理由付けを明確化し、検討することが求められる。


最後に、【設問2】は、B県知事がAの申請に係る許可をし、Fが同許可の取消訴訟を提起した場合を想定して、Fによる違法事由の主張とそれに対するB県の反論を問うものである。

まず、(i)Fの主張する違法事由として、Eの同意がない段階においてB県知事がAの申請に係る開発許可をした場合、森林法施行規則第4条第2号に規定する「相当数の同意」に関し、同知事が審査基準として自ら設定・公表しているB県林地開発行為の許可基準(以下「本件許可基準」という。)第1-1-①を満たしていない旨の主張が考えられる。この点に関するB県の反論では、開発行為に関する許可につきB県知事に裁量権が認められることから、本問のように開発区域内における権利者が2者である場合、開発区域内でAの所有林が占める面積の割合をも考慮して許可することができるかに関して本問における事実関係に即した検討が求められる。
次に、(ⅱ)Fの主張する違法事由として、C市水道水源保護条例に基づき規制対象事業場として認定(以下「本件認定」という。)されているから、本件許可基準第1-1-②を満たしていない旨の主張が考えられる。この点に関するB県の反論では、いわゆる紀伊長島町水道水源保護条例事件の最判平成16年12月24日民集58巻9号2536頁を参考にしつつ、本件認定に至るプロセスなどの本問における事実関係に即した検討が求められる。その際、かつて市町村による土地の使用制限に関する処分が違法であると評価して開発許可をしたというB県の運用を踏まえた検討も求められる。
最後に、(ⅲ)Fの主張する違法事由として、Aが設置を計画している貯水池の容量ではFの生活用水に不足が生じ、水確保要件と本件許可基準第4-1を満たしていない旨の主張が考えられる。この点に関するB県の反論では、Aが設置を計画している住民の生活用水確保のための貯水池に関して水確保要件及び本件許可基準第4-1の規定内容を踏まえ、Fが主張する規模の貯水池設置に関する技術的制約とそれに要する費用の問題等について検討することが求められる。 

 

 

令和3年度

本問は,A市の市道上で屋台営業を行うために必要な市道占用許可(道路法第32条第1項第6号)を自ら取得せず,他人の名義を借りて屋台営業を行ってきた者(以下「他人名義営業者」という。)であるBが,名義貸し行為の一掃を目指すA市屋台基本条例(以下「本件条例」という。)の施行後も,従前からの場所(以下「本件区画」という。)で屋台営業を続けるため,本件条例第25条所定の屋台営業候補者の公募に応募したところ,A市長(以下「市長」という。)が本件区画についてBを屋台営業候補者に選定しない旨の決定(以下「本件不選定決定」という。)を行う一方で,Cを屋台営業候補者に選定する旨の決定(以下「本件候補者決定」という。)を行ったという事例における法的問題について論じさせるものである。


〔設問1〕⑴は,本件不選定決定の処分性の有無を問うものである。Bは屋台営業候補者の公募に応募して本件不選定決定を受けたことから,まずは,本件条例及び本件条例施行規則の仕組み(屋台営業候補者であることが市道占用許可の要件の一つとなっていること,A市屋台専門委員会(以下「委員会」という。)は選定基準に則して推薦を行い,それを受けて市長は選定を行うこと,市長は選定又は不選定の決定の通知を行うこと等)に即して,屋台営業候補者の選定が申請に対する処分に当たるか,したがって本件不選定決定は申請拒否処分に当たるかについて検討することが求められる。他方で,Bが最終的に求めているのは市道占用許可であるため,本件不選定決定は中間段階の決定にすぎず,処分に当たらないのではないかという問題もある。そこで,本件不選定決定の処分性の有無については,Bが市道占用許可を申請して不許可処分を引き出し,その取消訴訟の中で本件不選定決定の違法性を争うといった訴訟手段との比較も視野に入れて検討する必要がある


〔設問1〕⑵は,市長が既にCに対して本件候補者決定を行っていることから,Bが本件不選定決定の取消しを求める訴えの利益が失われていないかを問うものである。この問題については,最判昭和43年12月24日民集22巻13号3254頁を参考にして,BとC及び本件不選定決定と本件候補者決定がいかなる関係にあるかを踏まえ,本件不選定決定の取消判決の効力によって生じることになる事態を正確に追跡し,Bが屋台営業候補者に選定される可能性が残っているかを検討することが求められる。


〔設問2〕は,本件不選定決定の取消訴訟において主張すべき違法事由を問うものである。まず,本件不選定決定の違法事由を検討する前提として,①本件条例の施行の際にBの地位への配慮に欠ける点がなかったか,②委員会の屋台営業候補者の推薦に係る判断に瑕疵はなかったか(より具体的には,屋台営業の実績を考慮して審査を行うという委員会の申合せに不合理な点はなかったか。)という問題の検討が求められる。
①の問題については,Bが本件区画で10年以上も屋台営業を行ってきたという事実を踏まえ,市道占用許可は財産権保護の観点から更新が原則であるという解釈が成り立たないか,屋台営業において他人の名義を借りることは,A市における実害や過去の取扱い,道路法及び本件条例で定める市道占用許可の要件に照らして,営業の実績が全て法的な保護に値しなくなるほど悪質な行為と評価できるかといった検討を行うことが要求される。この①の問題の検討の結果を踏まえ,市長が本件不選定決定を行う際に自身の公約を重視する一方でBの地位に更なる配慮を行わなかったことについていかなる違法事由を主張すべきかが論じられるべきことになる。
②の問題については,委員会の申合せが本件条例施行規則第19条各号の選定基準に照らして是認することができるか,また,新規に屋台営業を始めようとして公募に応募した者の利益を不当に侵害することにならないかの検討が要求される。前者は,基本的に本件条例施行規則第19条各号の解釈の問題であるが,後者は,とりわけ,屋台営業候補者選定指針は目にしたものの本件委員会の申合せを知るすべもなく公募に応募した者の権利保護といった観点からの検討が期待される。この②の問題の検討の結果を踏まえ,最判昭和50年5月29日民集29巻5号662頁を参考にして,市長が本件不選定決定を行うことによって「特段の合理的な理由」がないにもかかわらず委員会の推薦を覆したとの違法事由を主張し得るかが論じられるべきことになる。

 

令和2年度
農地を他の目的に転用するに際しては農地法第4条第1項に基づく都道府県知事等による農地転用許可を要するが,当該農地が農業振興地域の整備に関する法律(以下「農振法」という。)第8条第1項に基づく市町村の農用地利用計画により,農用地区域内の農地に指定されている場合には,原則として,農地の転用は認められない。したがって,こうした農地を転用するためには,その前提として,農振法第13条第1項に基づく計画変更による当該農地の農用地区域からの除外を求めなければならない。本問は,近隣農家のための医院設置を目的として農地(以下「本件農地」という。)を転用するため,それを農用地区域から除外するためのB市による農用地利用計画(以下「本件計画」という。)の変更が求められた事例について,農振法や関係法令の仕組みを踏まえながら,そこでの法律問題を分析することが求められている。
まず,本問の事例においては,Xによる本件農地を農用地区域から除外するための本件計画の変更をB市が認めておらず,それを争う前提として,本件計画の変更及びその申出の拒絶の処分性が問われている(設問1(1))。さらに,本件計画の変更及びその拒絶が処分であることを前提として,Xによる本件農地の農用地区域からの除外の申出をB市が受け付けず,これに対する可否の通知をしていない状況において,Xが選択すべき抗告訴訟の検討が求められる(設問1(2))。最後に,B市により,本件申出を拒絶する通知がなされた場合に,それに対する取消訴訟において,Xがどのような違法事由を主張すべきかが問われている(設問2)[やや複雑な法令の適用関係に照らして,農振法第13条第2項第5号の要件の充足性を検討する/委任した法律の趣旨目的に適合するように解釈]。以上の点について,【法律事務所の会議録】を踏まえながら,そこで示されている弁護士Cの指示に沿って,B市による反論も想定しつつ,弁護士Dの立場から検討することが求められる。

 

 

 

 

 

 

予備試験の出題動向(出題の趣旨からの抜粋)

令和4年

本問は、文化財保護条例に基づき、町が私有地にある古墳を文化財に指定した処分(以下「本件処分」という。)について、当該私有地の所有者が、本件処分から16年後、当該古墳一帯を開発するために無効確認訴訟の提起を検討しているという設例の下で、取消訴訟の訴訟要件としての出訴期間の意義・理解とともに、無効確認訴訟の訴訟要件
及び本案勝訴要件に関する基本的な知識・理解を試す趣旨の問題である。

設問1では、まず、本件処分に不服のある原告は、行政事件訴訟法(以下「行訴法」という。)第14条が定める出訴期間の経過によって原則として適法に取消訴訟を提起することができないこと、そのため、無効確認訴訟を提起することが考えられるが、無効確認訴訟の原告適格の有無について、行訴法第36条に則して検討することが求められる。
設問2では、まず、処分が重大かつ明白な瑕疵を帯びていることが無効確認訴訟の本案勝訴要件であることについて言及した上で、①本件処分の内容が不明確であること及び②条例に定める諮問手続を欠いていること等の瑕疵が本件処分の無効事由に当たかどうかについて、本問における事実関係を踏まえて紛争当事者の主張を想定しながら論ずる必要がある。

 

 

令和3年度

本問は,廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づき特別管理産業廃棄物収集運搬業の許可を受けている収集運搬業者が,その事業範囲の変更許可を申請したのに対し,行政庁が一定の条件(以下「本件条件」という。)を付した上で変更許可(以下「本件許可」という。)をしたという事実を基にして,行政処分の附款に関わる訴訟方法及びその実体法上の制約について,基本的な知識・理解を試す趣旨の問題である。
設問1は,本件条件に不満がある場合において,いかなる訴訟を提起すべきかを問うものである。本件条件は本件許可の附款という性質を有することから,本件許可の取消訴訟において本件条件の違法性を争うことができるか,本件条件の取消訴訟を提起すべきかが主に問題となる。その際,本件許可と本件条件が不可分一体の関係にあるか否か,それぞれの取消訴訟における取消判決の形成力,拘束力(行政事件訴訟法第33条)について,本件の事実関係及び法令の諸規定を基に論ずることが求められる。
設問2は,取消訴訟における本件条件の違法性に関する主張を問うものである。とりわけ,本件条件が付されたことに関して主に比例原則と信頼保護について,本件事実関係及び法令の諸規定とその趣旨を指摘し,また,信頼保護に関する裁判例最高裁判所昭和62年10月30日第三小法廷判決など)を踏まえ,本件条件の違法性を論ずることが求められる。

 

令和2年度

本問は,都市計画法上の開発許可の事前手続を定めた条例(以下「条例」という。)
の運用に際して,市と事業者の間で,事業者の開発制限に関する条項(以下「本件
条項」という。)を含む開発協定が締結され,さらに,本件条項を前提にして,条
例に基づく事前協議を受けることができないという市長の通知(以下「本件通知」
という。)が発せられたという事実を基にして,行政契約の実体法的な制約,及び
取消訴訟の訴訟要件に関する基本的な知識・理解を試す趣旨の問題である。
設問1は,本件条項の法的拘束力を問うものである。本件条項は,公害防止協定
に類する規制的な契約であることから,最高裁判所平成21年7月10日第二小法
廷判決(裁判集民事231号273頁)などを踏まえて,その法的拘束力の有無に
ついて検討することが求められる。その際,本件の事例に即して,とりわけ開発許
可制度の趣旨を踏まえて論ずる必要がある。
設問2は,本件通知の処分性の有無を問うものであり,処分性に関する最高裁
例を基に検討することが求められる。その際,本件通知の法的根拠の有無,本件通
知が条例上の措置や開発許可との関係でいかなる意義を有するか,開発不許可処分
取消訴訟において本件通知の違法性を争うことができるか,などについて,都市
計画法や条例の規定を基に論ずることが求められる。

 

 

 

 

 

 

 

 

令和5年度の出題分野予想

・出題予想としては、抗告訴訟の訴訟要件(処分性・原告適格・訴えの利益など)と違法事由(行政裁量・比例原則・信頼保護)はほとんど毎年出題されていることから、今年も出題されそうです

 

・このほか、行政処分の取消し・撤回に関する問題違法性の承継委任の範囲、行政手続公表、抗告訴訟における主張制限、国家賠償法、損失補償に関する問題もそろそろ出題されるかもしれません。出題形式が変わる可能性もなくはありません。

 

・いずれにせよ、その場で考えさせるタイプの問題になるので、行政事件訴訟法の各制度や条文の趣旨、重要判例の内容を理解したうえで、問題となる法令の仕組みや趣旨および問題文の状況をしっかり読み込み、論理的・合理的な解釈・あてはめを行うよう心がけましょう!

 

なお、司法試験の出題は、主として学者委員が問題案を持ち寄り、投票・議論等を経て決まります。ですので、学者委員の関心や考え方を知っておくことは有益です。

行政法の予備試験考査委員は、司法試験考査委員と重なっていますので、司法試験考査委員が予備試験の問題も作成しているものと思われます(御存知の方は、コメント等で教えてください)。

学者委員のプロフィールや著作等については、下記記事も参考にしてみてください(私の上記出題予想もこれを一定程度踏まえています)。

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2023年(令和5年度)予備試験の出題分野予想【刑事訴訟法】

こんにちは、コポローです。

今日は、令和5年度予備試験(刑事訴訟法)の出題分野について、いくつか予想したいと思います。

予備試験の出題は、原則として、過去3年程度の過去問(司法試験を含む)と出題分野が重ならないように配慮されているといわれていますので、まず、過去3年程度の出題分野は予想から除外します。

過去の出題分野は下記の通りです(過去問をまだ解いていない人はネタバレを含みますので閲覧注意です)。

 

 

 

 

 

 

司法試験の出題動向(出題の趣旨からの抜粋)

令和4年

本問は、大麻取締法違反事件及び非現住建造物等放火事件を素材として、捜査及び公判に関する具体的事例を示し、各局面で生じる刑事手続上の問題点、その解決に必要な法解釈、法適用に当たって重要な具体的事実の分析及び評価並びに具体的結論に至る思考過程を論述させることにより、刑事訴訟法に関する基本的学識、法適用能力及び論理的思考力を試すものである。
〔設問1〕は、大麻密売の疑いのある者として把握されていた甲に対するおとり捜査の適法性を論じさせることにより、おとり捜査の適法性の判断基準に対する理解と具体的事案への適用能力を試すものである。

法性について論じることが求められる。
〔設問2〕について、まず〔設問2―1〕は、非現住建造物等放火事件の犯行態様の一部について公訴事実と裁判所の心証との間にずれが生じた事例について、裁判所が現訴因のまま自己の心証に従って判決をすることができるか否かを問うことにより、訴因変更の要否に関する判断枠組みに対する理解と具体的事案への適用能力を試すもの

〔設問2-2〕は、共謀共同正犯において、検察官が冒頭陳述で釈明した共謀の日にちと裁判所が心証を形成した共謀の日にちとの間にずれが生じた事例について、裁判所がその心証に従って判決をすることができるか否かを問うことにより、検察官の釈明の効果及びそれを踏まえた裁判所の採るべき措置に対する理解と具体的事案への適用能力を試すもの

 

令和3年度

本問は,住居侵入強盗事件を素材として,捜査及び公判に関する具体的事例を示し,各局面で生じる刑事手続上の問題点,その解決に必要な法解釈,法適用に当たって重要な具体的事実の分析及び評価並びに具体的結論に至る思考過程を論述させることにより,刑事訴訟法に関する基本的学識,法適用能力及び論理的思考力を試すものである。
〔設問1〕は,警察官が行った名刺1枚の差押え(以下「下線部①の差押え」という。)及びUSBメモリ2本の差押え(以下「下線部②の差押え」という。)の適法性を検討させることにより刑事訴訟法の規定する差押えの要件に関する法的問題の理解と具体的事案への適用能力を試すものである

〔設問2〕は,乙の公判において証拠調べ請求された乙作成の本件メモ1(〔設問2-1〕),甲作成の本件メモ2(〔設問2-2〕)について,それぞれの証拠能力の有無を問うことにより,刑事訴訟法第320条第1項の伝聞法則についての正確な理解と具体的事実への適用能力を試すものである。

 

 

令和2年度
〔設問1〕は,H市内で夜間に発生したV方における住居侵入窃盗事件(以下「本件住居侵入窃盗事件」という。)に関し,司法警察員P及びQが,その2日前の夜間に同市内で発生した,手口が類似するX方における住居侵入未遂事件(以下「X方における事件」という。)で目撃された甲をH警察署まで任意同行した上,約24時間という長時間にわたり,一睡もさせずに徹夜で,更に偽計も用いて実施した取調べ(以下「下線部①の取調べ」という。)の適法性を論じさせることにより,刑事訴訟法第198条に基づく任意捜査の一環としての被疑者の取調べがいかなる限度で許されるのか,すなわち,被疑者に対する任意取調べの適法性に関する判断枠組みの理解及び具体的事実への法適用能力を試すものである。

〔設問2〕は,甲の自白が,前記のとおり,長時間にわたり,徹夜で行われた取調べにおいて,偽計を用いて獲得されているところ,まず,〔設問2-1〕において,自白法則及び違法収集証拠排除法則の自白への適用の在り方を一般的に問うた上,次いで,〔設問2-2〕において,〔設問2-1〕で論じた自己の見解に基づいて甲の前記自白の証拠能力を論じさせることにより,自白法則及び違法収集証拠排除法則という証拠法における基本原則が,自白という供述証拠にどのように適用されるのか(後者については適用の有無自体も含む。)についての基本的な理解と,それを踏まえた,具体的事例を解決するための法的思考力を試すものである。

 

 

   

 

 

 

予備試験の出題動向(出題の趣旨からの抜粋)

 

令和4年
本問は、Aに対する覚醒剤取締法違反事件において、警察官がA、Aの妻甲及びその
息子乙が居住するアパート居室(以下「A方居室」という。)を捜索場所とする捜索差押許可状(以下「本件許可状」という。)の発付を受け、本件許可状に基づきA方居室の捜索を実施したところ、設問1では、甲がその場で携帯していたキャリーケースを捜索した事例において、本件許可状によって、甲の携帯物を捜索することが許されるのかについて、最高裁判所判例(最決平成6年9月8日刑集48巻6号263頁)をも踏まえた検討をさせることを通して、憲法35条が捜索する場所及び押収する物を明示する各別の令状を要求している趣旨や、「場所」に対する捜索許可状に基づき、その場所に存在する「物」を捜索することの可否についての基本的理解を問うものである。

また、設問2は、上記捜索中に同居室に帰宅した乙が携帯していたボストンバッグを、有形力を行使して捜索した事例において、最高裁判所判例(最決平成19年2月8日刑集61巻1号1頁)の基本的な理解を踏まえつつその適否を検討させることを通して、本件許可状の効力が令状呈示後に同居室内に搬入された物品に及ぶか、また、捜索の際に処分を受ける者の身体に有形力を行使することの可否及び限度といった、令状による捜索の実施に当たり許される処分の範囲についての基本的理解を問うものである。
設問1及び2のいずれも刑事訴訟法の基本的な学識の有無及び具体的事案における応用力を問うものである。

 

令和3年度

本問は,共犯者2名による住居侵入,強盗傷人事件において,設問1では,事前
に被害者から犯人や被害品の特徴を聴取し,防犯カメラの画像でもこれを確認して
いた警察官が,犯行の約2時間後,犯行現場から約5キロメートル離れた路上で,
犯人の特徴と一致する2名の男を発見し,そのうち1名が被害品の特徴と一致する
バッグを所持していたことから,その男に声をかけたところ,両名が逃走したため,
これを追跡し,途中で上記バッグを投棄した1名を刑事訴訟法第212条第2項に
基づき逮捕(準現行犯逮捕)した事例において,この逮捕が,準現行犯逮捕の要件
を充足するかどうかを検討させることを通じて,準現行犯逮捕が令状主義の例外と
して認められる趣旨や,準現行犯逮捕の条文構造を踏まえた具体的事案における適
用のあり方を示すことを求めるものである。

設問2では,逮捕された被疑者について,間近い時期に被疑者を未発見の凶器の投棄現場に案内させ,その立会の下で同所の実況見分を実施する確実な予定がある中で,弁護人となろうとする者から,被疑者との初回の接見を30分後から30分間行いたい旨の申出があったのに対し,接見の日時を翌日と指定した事例において,接見指定の要件である「捜査のため必要があるとき」(刑事訴訟法第39条第3項本文)の意義や,初回接見についての指定内容と同項ただし書の「指定は,被疑者が防御の準備をする権利を不当に制限するようなものであってはならない。」との関係についての理解を踏まえて,当該指定の適否を検討させるものである。その検討においては,最高裁判所判例最高裁平成11年3月24日大法廷判決,最高裁平成12年6月13日第三小法廷判
決等)を意識して自説を展開する必要がある。

 

令和2年度
本問は,常習傷害罪として包括一罪を構成する可能性がある複数の行為の一部に
つき,確定判決を経た事件(以下「前訴」という。)と,前訴の確定判決前に犯さ
れたが同判決後に発覚して起訴された行為に関する事件(以下「後訴」という。)
の両者,あるいは一方が,単純一罪として訴因構成された事例において,前訴の確
定判決の一事不再理効が及ぶ範囲の検討を通じ,刑事訴訟法の基本的な学識の有無
及び具体的事案における応用力を試すものである。

 

 

 

 

 

令和5年度の出題分野予想

・例年、捜査から1題、公訴・公判から1題、出題されています。

捜査からの出題予想としては、ビデオ撮影所持品検査、GPS捜査、検問現行犯逮捕、任意同行の違法性、勾留の違法性、別件逮捕勾留、逮捕に伴う捜索・差押え、報道機関に対する捜索・差押さえあたりから出題がありそうです。

公訴・公判からは、公訴権濫用、訴因の特定、訴因変更の可否、約束による自白、補強法則、科学的証拠、刑訴法328条共犯者の供述択一的認定あたりが出題されそうです。

 

・近時の傾向として、その場で考えさせるタイプの問題になりそうなので、各制度や条文の趣旨、重要判例の内容を理解したうえで、問題文の状況をしっかり読み込み、事案に即した論理的・合理的な解釈・あてはめを行うよう心がけましょう!

 

司法試験の出題は、主として学者委員が問題案を持ち寄り、投票・議論等を経て決まります。ですので、学者委員の関心や考え方を知っておくことは有益です。刑訴の予備試験の考査委員は司法試験考査委員と重複しているので、司法試験考査委員が予備試験の作問も担当してる可能性があります(御存知の方はコメントなどでお知らせいただければ大変助かります。)

司法試験の学者委員のプロフィールや著作等については、下記記事も参考にしてみてください(私の上記出題予想もこれを一定程度踏まえています)

 

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今回の記事は以上です。

本記事がみなさんの参考になれば幸いです(*^-^*)

それではまた!

 

他の科目の出題分野予想はこちら

2023年(令和5年)予備試験の出題分野の予想【民事訴訟法】

 

今回は2023年の予備試験の出題分野【民事訴訟法】を予想したいと思います。

 

予備試験の出題は、原則として、過去3年程度の過去問(司法試験を含む)と出題分野が重ならないように配慮されているといわれていますので、まず、過去3年程度の出題分野は予想から除外します。

過去の出題分野は下記の通りです(過去問をまだ解いていない人はネタバレを含みますので閲覧注意です)。

   

 

 

 

 

司法試験の出題動向(出題の趣旨からの抜粋)

令和4年

本問は、令和3年4月20日、Xが、その所有する建物の一部(以下「本件事務所」という。)につき、平成30年5月21日設立の会社である甲(商号「株式会社Mテック」)との間で締結した賃貸借契約(以下「本件賃貸借契約」という。)の終了に基づき、「株式会社Mテック」を被告と表示して本件事務所の明渡しを求める訴えを提起した(以下、この訴えに係る訴訟手続を「本件訴訟」という。)ところ、本件訴訟の提起前である令和3年4月2日、甲の代表者Aが、甲の商号を「株式会社Mテック」から「株式会社Gテック」に変更し、甲の代表取締役としてAの配偶者Bを就任させ、商号の変更等の登記をした一方で、自身を代表取締役とし、商号を「株式会社Mテック」とする乙という会社を新たに設立し、設立の登記をしていたことに加え、Xが訴状の附属書類として添付した代表者事項証明書には「株式会社Mテック」の設立年月日の記載がないため、乙を甲と誤認したまま本件訴訟を提起していたという事案を素材としている。

この事案について、①原告が請求の原因として主張して本件賃貸借契約締結及びその解除の事実等を被告が認めたことを踏まえて口頭弁論が終結された後、Aから口頭弁論の再開が申し立てられ、被告と表示された乙はXと賃貸借契約を締結していない等として自白の撤回が主張された場合における当事者の確定の基準及び自白の撤回を主張することの当否の検討(設問1)、

②本件訴訟の被告が乙であることを前提とした場合に、Xが甲を被告として追加する主観的追加的併合を申し立てる際に留意すべき4つの問題点の検討(設問2)、

③本件訴訟の被告が乙と確定され、Xが甲を被告として本件賃貸借契約の終了に基づき本件事務所の明渡しを求める訴えを提起した場合において、甲が本件賃貸借契約には賃料支払猶予の合意(以下「本件合意」という。)があることを理由に解除することができないと主張し、その証拠として提出された本件合意を記録した電子ファイルを保存したUSBメモリの取調べを書証によってすることができることの論証(設問3)をそれぞれ求めるものである。   

 

 

 

令和3年度

本問は,XがYに対して,土地(以下「本件土地」という。)の賃貸借契約(以下「本件契約」という。)終了に基づいて,Yが本件土地上に所有する建物(以下「本件建物」という。)の収去と本件土地の明渡しを求めて提起した訴えに係る訴訟(以下「本件訴訟」という。)の係属中にYがZに対して本件建物を賃貸し,これに基づいて本件建物をZに引き渡したという事案を題材として,

①原告が一定の額の立退料の支払と引換えに建物収去土地明渡請求訴訟を提起した場合に,原告が申し出た額とは異なる額の立退料の支払との引換給付判決をすることの許否の検討(設問1)

②XがZを引受人とする訴訟引受けの申立てをした場合に,Zが民事訴訟法(以下「法」という。)第50条にいう承継人に該当するか否かの検討(設問2)

③ZがXによる更新拒絶を争うために,BからAに対して権利金が支払われていた旨を主張することが時機に後れた攻撃防御方法として却下されるかどうかの検討(設問3)をそれぞれ求めるものである。

 

令和2年度

 本問は,XとAとの建物(以下「本件建物」という。)の賃貸借(以下この賃貸借に係る契約を「本件契約」という。)の継続中,賃借人であるAが死亡し,Y1及びY2(以下「Yら」という。)がAを相続したところ,XがYらに対してAとの間で本件契約の解約の合意をしたと主張している事案を題材として,①敷金に関する将来給付の訴えの適法性及び確認の訴えにおける確認の利益の検討(設問1),②和解手続における当事者の発言の内容を裁判官が心証形成の資料とすることができない理由の検討(設問2),③本問の共同訴訟(以下「本件訴訟」という。)において共同被告の一方に対する訴えを取り下げることの可否と,仮にそれができるとする場合に取下げにより当事者ではなくなった者が取下げの前に提出して取り調べられた証拠の証拠調べの結果を事実認定に用いることができるかどうかの検討(設問3)をそれぞれ求めるものである。

 

 

予備試験の出題動向(出題の趣旨からの抜粋)

 

令和4年

設問1は、権利能力のない社団の財産に係る総有権確認の訴えに関して、①社団自身が原告となって訴えを提起することの適否、②構成員らが原告となって訴えを提起することの適否を、具体的な事例を通して問うものである。
前段部分に関しては、⑴権利能力のない社団であるXについて、構成員全員の総有に属するとされる甲土地の総有権確認訴訟の原告適格が認められるか否か、⑵⑴が肯定される場合でも、原告Xの代表者であるAについて、本件総有権確認訴訟をXの代表者として提起し、追行する訴訟上の権限があるといえるか等に関して、関連判例である最判平成6年5月31日民集48巻4号1065頁の理解を踏まえて検討することが期待されている。
後段部分に関しては、Xの構成員らが原告となって共同訴訟を提起するに際し、⑴当該訴訟が、Xの構成員全員が当事者とならなければ当事者適格を欠いて不適法となる、固有必要的共同訴訟か否か、⑵⑴を肯定する場合には、構成員の一部が当該訴えを提起することに反対している場合に当該訴えを適法に提起することの可否や方法等について、固有必要的共同訴訟の成否を決定する基準や当該訴訟が確認訴訟であることを踏まえつつ、関連判例である最判平成20年7月17日民集62巻7号1994頁の論旨や射程等を意識した検討が求められている。
設問2は、重複起訴の禁止と既判力の範囲・作用等についての理解を、本件事案に即して問うものである。設問前段部分では、本件訴訟の係属中に本件別訴を提起することが重複起訴の禁止に抵触するか否かにつき、重複起訴の禁止の趣旨を明らかにした上で、当該趣旨を考慮して要件を定立して、結論を導き出すことが求められている。結論を導き出すに際しては、本件事案に応じた当てはめを行う必要があるが、その定立した要件に応じて、本件訴訟や本件別訴の訴訟物の内容や異同などを意識しながら、検討することが期待されている。
また、設問後段部分では、前訴判決が請求棄却判決であるとの前提の下、前訴判決の既判力が生じる範囲、前訴及び後訴における訴訟物の内容や異同などを意識しながら、既判力に関する基本的な理解を手掛かりとして、前訴判決の既判力の後訴に対する作用について検討することが期待されている

   

 

 

令和3年度

本問は,債権者代位訴訟に関する訴訟法上の論点について,民法改正も踏まえた基本的
理解を問うものであり,いずれの設問も,条文上の根拠を明確にし,いかなる要件や効果との関係で問題となるのか,問題の所在を適切に指摘することがまずは求められる。〔設問1〕では,債務者が本問の事実状況において,当事者として債権者代位訴訟へど
のような形で関与し得るかが問われており,その形態として,共同訴訟参加と独立当事者参加の検討を求めている。

設問1(1)は,まずYがXに共同訴訟参加する場合の一般的要件として,当事者適格の存在や合一確定の必要を論じた上で,次に本問の事実状況からはYの主張によればXとYが共同訴訟人としての協力関係にないことがうかがわれるため,その点を踏まえてなお共同訴訟参加を認めることが適当か,合一確定の要請等も踏まえ,分析する論述が求められる。

設問1(2)では,債権者代位訴訟における債権者の被保全債権の存否を争っているため,独立当事者参加として片面的な権利主張参加の可否が問題となる。Yの主張するところをXに対する本件貸付債権に係る債務の不存在確認請求と法律構成した上で,権利主張参加の可否に関し,例えば,請求の非両立性といった規範を定立し,XとYの各請求内容やそれを基礎付ける主張事実を比較した場合はどうかにつき,Yにとって本件訴訟を牽制する必要性が高いという実質的観点も踏まえ,本件事案に即して具体的に検討されているかが問われている。
〔設問2〕は,債権者代位訴訟の判決効に関する問題である。まず債権者代位訴訟における既判力が債務者(Y)に及ぶかについて,改正後の民法下での理論構成を論じることが求められる。その上で,本件訴訟の判決効を代位債権者以外の債権者(A)に拡張することが肯定されるかを,第三債務者(Z)の保護等の観点も勘案しつつ,その理論構成と合わせて検討されているかを問うものである。

 

令和2年度

 設問1は,金額を明示しない債務不存在確認の訴え(本訴)が提起されて係属中
に,反訴として当該債務に係る給付の訴えが提起された場合における債務不存在確
認の訴えの訴訟物及び既判力に関する理解を問う問題である。具体的には,まず,
金額を明示しない債務不存在確認の訴えの適法性が問われ,さらに,債務不存在確
認の訴えにおいて給付訴訟の反訴がなされた場合の確認の利益に関する判例の立場
を念頭に置きつつ,反訴が明示的一部請求訴訟であることを踏まえた上で,本問の
事案における本訴の帰すうについて,その判決に生ずる既判力の点も含め,検討さ
れているかを問うものである。
設問2は,設問1での既判力の生ずる範囲を前提として,被告の前訴の反訴請求
が一部請求であったことから,残部を後訴で請求した場合に後訴請求を基礎付ける
論拠が問題となる。前訴における本訴・反訴それぞれの判決について生じる既判力
を理解した上で,本問で問題となる交通事故事案の不法行為訴訟の特質を踏まえ,
残部請求や後遺症による損害の追加請求に関する判例の論理構成に言及しつつ,残
部請求の可否について説得的に論述し,本問の具体的事案に当てはめた検討をする
ことができるかが問われている。

 

 

 

 

令和5年度の出題分野予想

・出題予想としては、そろそろ訴えの利益、権利抗弁、文書提出義務、訴えの予備的併合、訴訟告知あたりから出題がありそうです。

・また、弁論主義、既判力、共同訴訟に関する問題も、ここ数年の問題と異なる観点で出題される可能性が十分あると思います。間接事実の自白、争点効、類似必要的共同訴訟など。

民事訴訟法ではマイナーな制度が出題されることが少なくありません。最低限の知識でよいので、穴のないように広く勉強しておきましょう!!

 

 

なお、予備試験の出題は、主として学者委員が問題案を持ち寄り、投票・議論等を経て決まります。ですので、学者委員の関心や考え方を知っておくことは有益です。

学者委員のプロフィールや著作等については、下記記事も参考にしてみてください(私の上記出題予想もこれを一定程度踏まえています)。

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 今回の記事は以上です。

本記事がみなさんの参考になれば幸いです(*^-^*)

それではまた!

 

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