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2023年(令和5年)予備試験の出題分野の予想【民事訴訟法】

 

今回は2023年の予備試験の出題分野【民事訴訟法】を予想したいと思います。

 

予備試験の出題は、原則として、過去3年程度の過去問(司法試験を含む)と出題分野が重ならないように配慮されているといわれていますので、まず、過去3年程度の出題分野は予想から除外します。

過去の出題分野は下記の通りです(過去問をまだ解いていない人はネタバレを含みますので閲覧注意です)。

   

 

 

 

 

司法試験の出題動向(出題の趣旨からの抜粋)

令和4年

本問は、令和3年4月20日、Xが、その所有する建物の一部(以下「本件事務所」という。)につき、平成30年5月21日設立の会社である甲(商号「株式会社Mテック」)との間で締結した賃貸借契約(以下「本件賃貸借契約」という。)の終了に基づき、「株式会社Mテック」を被告と表示して本件事務所の明渡しを求める訴えを提起した(以下、この訴えに係る訴訟手続を「本件訴訟」という。)ところ、本件訴訟の提起前である令和3年4月2日、甲の代表者Aが、甲の商号を「株式会社Mテック」から「株式会社Gテック」に変更し、甲の代表取締役としてAの配偶者Bを就任させ、商号の変更等の登記をした一方で、自身を代表取締役とし、商号を「株式会社Mテック」とする乙という会社を新たに設立し、設立の登記をしていたことに加え、Xが訴状の附属書類として添付した代表者事項証明書には「株式会社Mテック」の設立年月日の記載がないため、乙を甲と誤認したまま本件訴訟を提起していたという事案を素材としている。

この事案について、①原告が請求の原因として主張して本件賃貸借契約締結及びその解除の事実等を被告が認めたことを踏まえて口頭弁論が終結された後、Aから口頭弁論の再開が申し立てられ、被告と表示された乙はXと賃貸借契約を締結していない等として自白の撤回が主張された場合における当事者の確定の基準及び自白の撤回を主張することの当否の検討(設問1)、

②本件訴訟の被告が乙であることを前提とした場合に、Xが甲を被告として追加する主観的追加的併合を申し立てる際に留意すべき4つの問題点の検討(設問2)、

③本件訴訟の被告が乙と確定され、Xが甲を被告として本件賃貸借契約の終了に基づき本件事務所の明渡しを求める訴えを提起した場合において、甲が本件賃貸借契約には賃料支払猶予の合意(以下「本件合意」という。)があることを理由に解除することができないと主張し、その証拠として提出された本件合意を記録した電子ファイルを保存したUSBメモリの取調べを書証によってすることができることの論証(設問3)をそれぞれ求めるものである。   

 

 

 

令和3年度

本問は,XがYに対して,土地(以下「本件土地」という。)の賃貸借契約(以下「本件契約」という。)終了に基づいて,Yが本件土地上に所有する建物(以下「本件建物」という。)の収去と本件土地の明渡しを求めて提起した訴えに係る訴訟(以下「本件訴訟」という。)の係属中にYがZに対して本件建物を賃貸し,これに基づいて本件建物をZに引き渡したという事案を題材として,

①原告が一定の額の立退料の支払と引換えに建物収去土地明渡請求訴訟を提起した場合に,原告が申し出た額とは異なる額の立退料の支払との引換給付判決をすることの許否の検討(設問1)

②XがZを引受人とする訴訟引受けの申立てをした場合に,Zが民事訴訟法(以下「法」という。)第50条にいう承継人に該当するか否かの検討(設問2)

③ZがXによる更新拒絶を争うために,BからAに対して権利金が支払われていた旨を主張することが時機に後れた攻撃防御方法として却下されるかどうかの検討(設問3)をそれぞれ求めるものである。

 

令和2年度

 本問は,XとAとの建物(以下「本件建物」という。)の賃貸借(以下この賃貸借に係る契約を「本件契約」という。)の継続中,賃借人であるAが死亡し,Y1及びY2(以下「Yら」という。)がAを相続したところ,XがYらに対してAとの間で本件契約の解約の合意をしたと主張している事案を題材として,①敷金に関する将来給付の訴えの適法性及び確認の訴えにおける確認の利益の検討(設問1),②和解手続における当事者の発言の内容を裁判官が心証形成の資料とすることができない理由の検討(設問2),③本問の共同訴訟(以下「本件訴訟」という。)において共同被告の一方に対する訴えを取り下げることの可否と,仮にそれができるとする場合に取下げにより当事者ではなくなった者が取下げの前に提出して取り調べられた証拠の証拠調べの結果を事実認定に用いることができるかどうかの検討(設問3)をそれぞれ求めるものである。

 

 

予備試験の出題動向(出題の趣旨からの抜粋)

 

令和4年

設問1は、権利能力のない社団の財産に係る総有権確認の訴えに関して、①社団自身が原告となって訴えを提起することの適否、②構成員らが原告となって訴えを提起することの適否を、具体的な事例を通して問うものである。
前段部分に関しては、⑴権利能力のない社団であるXについて、構成員全員の総有に属するとされる甲土地の総有権確認訴訟の原告適格が認められるか否か、⑵⑴が肯定される場合でも、原告Xの代表者であるAについて、本件総有権確認訴訟をXの代表者として提起し、追行する訴訟上の権限があるといえるか等に関して、関連判例である最判平成6年5月31日民集48巻4号1065頁の理解を踏まえて検討することが期待されている。
後段部分に関しては、Xの構成員らが原告となって共同訴訟を提起するに際し、⑴当該訴訟が、Xの構成員全員が当事者とならなければ当事者適格を欠いて不適法となる、固有必要的共同訴訟か否か、⑵⑴を肯定する場合には、構成員の一部が当該訴えを提起することに反対している場合に当該訴えを適法に提起することの可否や方法等について、固有必要的共同訴訟の成否を決定する基準や当該訴訟が確認訴訟であることを踏まえつつ、関連判例である最判平成20年7月17日民集62巻7号1994頁の論旨や射程等を意識した検討が求められている。
設問2は、重複起訴の禁止と既判力の範囲・作用等についての理解を、本件事案に即して問うものである。設問前段部分では、本件訴訟の係属中に本件別訴を提起することが重複起訴の禁止に抵触するか否かにつき、重複起訴の禁止の趣旨を明らかにした上で、当該趣旨を考慮して要件を定立して、結論を導き出すことが求められている。結論を導き出すに際しては、本件事案に応じた当てはめを行う必要があるが、その定立した要件に応じて、本件訴訟や本件別訴の訴訟物の内容や異同などを意識しながら、検討することが期待されている。
また、設問後段部分では、前訴判決が請求棄却判決であるとの前提の下、前訴判決の既判力が生じる範囲、前訴及び後訴における訴訟物の内容や異同などを意識しながら、既判力に関する基本的な理解を手掛かりとして、前訴判決の既判力の後訴に対する作用について検討することが期待されている

   

 

 

令和3年度

本問は,債権者代位訴訟に関する訴訟法上の論点について,民法改正も踏まえた基本的
理解を問うものであり,いずれの設問も,条文上の根拠を明確にし,いかなる要件や効果との関係で問題となるのか,問題の所在を適切に指摘することがまずは求められる。〔設問1〕では,債務者が本問の事実状況において,当事者として債権者代位訴訟へど
のような形で関与し得るかが問われており,その形態として,共同訴訟参加と独立当事者参加の検討を求めている。

設問1(1)は,まずYがXに共同訴訟参加する場合の一般的要件として,当事者適格の存在や合一確定の必要を論じた上で,次に本問の事実状況からはYの主張によればXとYが共同訴訟人としての協力関係にないことがうかがわれるため,その点を踏まえてなお共同訴訟参加を認めることが適当か,合一確定の要請等も踏まえ,分析する論述が求められる。

設問1(2)では,債権者代位訴訟における債権者の被保全債権の存否を争っているため,独立当事者参加として片面的な権利主張参加の可否が問題となる。Yの主張するところをXに対する本件貸付債権に係る債務の不存在確認請求と法律構成した上で,権利主張参加の可否に関し,例えば,請求の非両立性といった規範を定立し,XとYの各請求内容やそれを基礎付ける主張事実を比較した場合はどうかにつき,Yにとって本件訴訟を牽制する必要性が高いという実質的観点も踏まえ,本件事案に即して具体的に検討されているかが問われている。
〔設問2〕は,債権者代位訴訟の判決効に関する問題である。まず債権者代位訴訟における既判力が債務者(Y)に及ぶかについて,改正後の民法下での理論構成を論じることが求められる。その上で,本件訴訟の判決効を代位債権者以外の債権者(A)に拡張することが肯定されるかを,第三債務者(Z)の保護等の観点も勘案しつつ,その理論構成と合わせて検討されているかを問うものである。

 

令和2年度

 設問1は,金額を明示しない債務不存在確認の訴え(本訴)が提起されて係属中
に,反訴として当該債務に係る給付の訴えが提起された場合における債務不存在確
認の訴えの訴訟物及び既判力に関する理解を問う問題である。具体的には,まず,
金額を明示しない債務不存在確認の訴えの適法性が問われ,さらに,債務不存在確
認の訴えにおいて給付訴訟の反訴がなされた場合の確認の利益に関する判例の立場
を念頭に置きつつ,反訴が明示的一部請求訴訟であることを踏まえた上で,本問の
事案における本訴の帰すうについて,その判決に生ずる既判力の点も含め,検討さ
れているかを問うものである。
設問2は,設問1での既判力の生ずる範囲を前提として,被告の前訴の反訴請求
が一部請求であったことから,残部を後訴で請求した場合に後訴請求を基礎付ける
論拠が問題となる。前訴における本訴・反訴それぞれの判決について生じる既判力
を理解した上で,本問で問題となる交通事故事案の不法行為訴訟の特質を踏まえ,
残部請求や後遺症による損害の追加請求に関する判例の論理構成に言及しつつ,残
部請求の可否について説得的に論述し,本問の具体的事案に当てはめた検討をする
ことができるかが問われている。

 

 

 

 

令和5年度の出題分野予想

・出題予想としては、そろそろ訴えの利益、権利抗弁、文書提出義務、訴えの予備的併合、訴訟告知あたりから出題がありそうです。

・また、弁論主義、既判力、共同訴訟に関する問題も、ここ数年の問題と異なる観点で出題される可能性が十分あると思います。間接事実の自白、争点効、類似必要的共同訴訟など。

民事訴訟法ではマイナーな制度が出題されることが少なくありません。最低限の知識でよいので、穴のないように広く勉強しておきましょう!!

 

 

なお、予備試験の出題は、主として学者委員が問題案を持ち寄り、投票・議論等を経て決まります。ですので、学者委員の関心や考え方を知っておくことは有益です。

学者委員のプロフィールや著作等については、下記記事も参考にしてみてください(私の上記出題予想もこれを一定程度踏まえています)。

kaishaho.hatenablog.jp

 

 


 今回の記事は以上です。

本記事がみなさんの参考になれば幸いです(*^-^*)

それではまた!

 

他の科目の出題分野予想はこちら↓

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