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2023年(令和5年)予備試験の出題分野予想【刑法】

こんにちは、コポローです。

今日は、令和5年度予備試験(刑法)の出題分野について、いくつか予想したいと思います。

 

司法試験の出題は、原則として、過去3年程度の過去問(予備試験を含む)と出題分野が重ならないように配慮されているといわれていますので、まず、過去3年程度の出題分野は予想から除外します。

 

過去の出題分野は下記の通りです(過去問をまだ解いていない人はネタバレを含みますので閲覧注意です)。  

 

 

 

司法試験の出題動向(出題の趣旨からの抜粋)

令和4年

設問1

Aが盗んだB所有のバイク(以下「本件バイク」という。)の保管をAから依頼された甲が、甲宅のシャッター付きのガレージに保管していた本件バイクを、Aを困らせるため、甲宅から約5キロメートル離れた場所にある甲の実家の物置内に移動させて隠した行為について、甲に横領罪(刑法第252条第1項)の成立を認める立場から、⑴甲は、Aに頼まれて本件バイクを保管している以上、これを「横領」(同項)すれば横領罪が成立する、⑵甲が実家の物置内に本件バイクを移動させて隠した行為は、「横領した」(同項)に当たるという各主張がなされた場合のそれぞれの当
否を検討させるもの

設問2

Aと口論になり公園に呼び出された甲が、Aの前に姿を現せば、Aから殴る蹴るなどの暴力を振るわれる可能性が極めて高いだろうと考え、包丁を準備して同公園に出向いたところ、同公園に現れたAから拳で殴られそうになったため、自らも包丁をAに向けて突き出すなどしたが、その様子を目撃した乙が、Aが甲に対して一方的に攻撃を加えようとしていると思い込み、甲を助けようと考えて、Aの背後から、持っていたサバイバルナイフ(以下「本件ナイフ」という。)をAの右上腕部に突き刺し、Aに加療約3週間を要する右上腕部刺創の傷害を負わせた行為について傷害罪の成否を検討させ、さらに、その後、乙が、Aから蹴り付けられて本件ナイフをその場に落とし、更にAから追い掛けられて逃げ出したところ、進路前方の道路脇に、飲食物の宅配業務に従事していたDが一時的に停めていた原動機付自転車(以下「本件原付」という。)を見付け、本件原付を使ってAの追跡を振り切り、安全な場所まで移動したら本件原付をその場に放置して立ち去ろうと考え、Dに無断で本件原付を発進させてAの追跡を振り切った行為について窃盗罪の成否を検討させるもの

 

令和3年度

本問は,設問1で,甲及びB腕時計店(以下「B店」という。)の副店長である丙が,あらかじめ意を通じ,B店に押し入った甲が丙にサバイバルナイフを示すなどして丙を脅すふりをして,B店の売場に陳列されていた商品の腕時計100点(以下「本件腕時計」という。)を持ち去った行為について窃盗罪の共同正犯の成否を,

(※占有の帰属、刑法65条)

甲と共に腕時計を強奪することを計画していたものの,甲と丙が内通していた事実を知らないで,甲及び丙の前記犯行中に周囲を見張るなどして加担した乙について窃盗罪の共同正犯の成否をそれぞれ検討させ,

(※共謀共同正犯、共犯の錯誤、抽象的事実の錯誤)

さらに,丙からの依頼を受け,本件腕時計の一部が入ったボストンバッグ(以下「本件バッグ」という。)を自宅の押し入れ内に保管していた丁が,本件バッグの中に盗品が入っていることを認識するに至った後も保管を継続した行為について盗品等保管罪の成否を検討させ,

(※盗品等保管罪の性質と故意)

設問2で,甲が,丙と意を通じ,まず甲が木刀で乙の頭部を殴打した(以下「第1暴行」という。)が,乙が甲らのB店における犯行を警察に話すなどと言ったことから,丙が乙に暴行を加え,暴行を終了するようにいさめた甲を殴打して気絶させた後,前記木刀で乙の頭部を殴打した(以下「第2暴行」という。)ところ,乙に生じた頭部裂傷(以下「本件傷害」という。)が第1暴行又は第2暴行のいずれか一方だけによって形成されたものであることは明らかであるものの,いずれの暴行から形成されたものか不明であったという事例について,甲が本件傷害に関する刑事責任を負わないとの結論を導くための説明及び甲が本件傷害に関する刑事責任を負うとの立場からの反論を,それぞれ論点ごとに論拠を示しつつ検討させ,それにより,刑事実体法及びその解釈論の知識と理解を問うとともに,具体的な事実関係を分析し,その事実に法規範を適用する能力並びに論理的な思考力及び論述力を試すものである。

(※同時傷害の特例、共犯関係の解消)

 

令和2年度

本問は,設問1で,甲がAから依頼されたBに対する貸金債権(以下「本件債権」という。)の回収に際し,その金額は500万円であるのに,600万円であると水増ししつつ,自身が暴力団組員であると装うなどしてBを畏怖させ,D銀行E支店に開設された甲名義の預金口座(以下「本件甲口座」という。)に600万円を送金させた行為について甲に成立する財産犯に関し,被害額が600万円になるとの立場と100万円になるとの立場のそれぞれの理論構成を検討させた上,甲に成立する財産犯について検討させ[※恐喝罪と詐欺罪の区別、および1項犯罪か2項犯罪か],

設問2で,甲がワインに混入した睡眠薬をAが摂取して死亡したことについて,甲について殺人既遂罪の成立要件は満たされず,同罪は成立しないとの結論も考えられるところ,同結論の根拠となり得る具体的な事実を3つ挙げさせた上,同結論を導く理由を事実ごとに簡潔に示させ[※実行行為、因果関係、故意(殺意)

さらに,設問3で,甲が同支店窓口係員Fに本件甲口座から600万円の払戻しを請求し,同額の払戻しを受けた行為について1項詐欺罪の成否を,甲がCに対する借金返済のため同600万円の払戻しを受け,これをCに渡して費消した行為について横領罪の成否を,甲がAに対する500万円の返還を免れるため睡眠薬を混入したワインをAに飲ませて眠り込ませ,その睡眠薬の影響によりAの心臓疾患を悪化させ,心不全でAを死亡させた行為について2項強盗殺人罪の成否[※早すぎた構成要件の実現を,甲が同ワインをAに飲ませた後,A方で発見した腕時計を奪取した行為について成立する財産犯を,それぞれ検討させ,それにより,刑事実体法及びその解釈論の知識と理解を問うとともに,具体的な事実関係を分析し,その事実に法規範を適用する能力並びに論理的な思考力及び論述力を試すものである

   

 

 

 

 予備試験の出題動向(出題の趣旨からの抜粋)

令和4年度

設問1は、甲が、⑴長女Y(6歳)にスーパーマーケットC店でブドウを万引きさせ
ようとしたところ、Yが果物コーナーの場所が分からず、何もとらずに同店を出たこと、⑵長男X(13歳)に同店でステーキ用牛肉2パックを万引きさせようとしたところ、Xが同牛肉5パックと写真集1冊を精算せずに同店から持ち出したことを内容とする事例について、甲の罪責に関する論述を求めるものである。いずれも、刑事未成年者を利用した甲の罪責を検討する前提として、間接正犯、共謀共同正犯又は狭義の共犯のいずれが成立するかを検討する必要がある。

そして、⑴については、甲に認めた関与類型を踏まえつつ、実行の着手の判断基準に関する基本的理解を示して窃盗未遂罪の成否を検討する必要がある。また、⑵については、Xが甲の指示した牛肉2パックに加え、牛肉3パック及び写真集1冊を窃取していることから、甲の指示に含まれておらず、甲が予見もしていなかった客体の窃取に関して甲がどの範囲で罪責を負うかについて、本件の具体的事実関係を踏まえて検討する必要がある。本設問では、刑法の基本的な概念に関する正確な理解を前提に、事実関係を的確に分析し、それを法的に構成する能力が問われている。


設問2は、甲が、ホームセンターE店で液晶テレビを万引きしようとしたところ、これを警備員Fに目撃され、同テレビを陳列棚に戻して同店から約400メートル離れた公園まで逃げたが、その後同店駐輪場に自転車を取りに戻った際にFから捕まりそうになったため、Fの胸部を押して転倒させたことを内容とする事例について、事後強盗既遂罪の成立を否定するための3つの主張とその論拠を論じることを求めるものである。事後強盗罪の既遂・未遂は先行する窃盗の既遂・未遂によって決定されること、同罪の暴行・脅迫は「窃盗の機会」の継続中に行われる必要があること、同罪における暴行・脅迫の程度は相手方の反抗を抑圧するに足りる程度のものでなければならないことを踏まえ、具体的事実を示して論じる必要がある。本設問では、一定の結論を導くためにはどのような主張があり得るかを事実関係に即して検討させることによって、具体的な事実を法的に分析する能力が問われている。

   

 

 

 

令和3年度

⑴甲が,脱税の証拠である甲所有の帳簿(以下「本件帳簿」という。)をYに預けていたところ,情を知ったYからその返還と引き替えに100万円の支払を求められたため,Y宅に忍び込み,Yが保管していた本件帳簿が入った段ボール箱をY宅から持ち出したこと,

⑵その後,⑴の犯行を知ったYから警察に通報する旨を告げられた甲が,本件帳簿を廃棄するため,自宅近くの防波堤で,これに火をつけて燃やしたところ,火のついた紙片が同防波堤にあった漁網に接触してこれを燃焼させ,その煙が釣り人を包み,釣り人の原動機付自転車にも延焼するおそれを生じさせたこと,

⑶甲の妻乙が,自宅において,甲の実父Xの首を絞めて窒息死させたところ,甲は,その状況を目撃しながら,Xが死を望んでいるものと考えてこれを放置してXを死亡させたことを内容とする事例について,甲及び乙の罪責に関する論述を求めるもの。

⑴については,本件帳簿が甲の所有物であることを踏まえて,これが刑法第242条に
いう「他人が占有」する財物に当たるかを検討しつつ,自救行為としての違法性阻却の可能性も含めて,甲に窃盗罪が成立するか否かに関して,本事例における事実関係を基に検討する必要がある。
⑵については,本件帳簿が自己所有建造物等以外放火罪の客体に当たることを前提に,
本事例において,同罪における「公共の危険」が発生したといえるか否かを検討するとともに,これを肯定したときには,同罪の成立に「公共の危険の認識」が必要かどうかを踏まえた成立罪名を検討する必要がある。
⑶については,乙に殺人罪が成立するところ,甲の不作為による関与の可罰性を検討す
るに当たり,作為義務の有無,結果回避可能性の要否,関与類型,抽象的事実の錯誤の処理等に関する基本的理解を踏まえつつ,本事例における事実関係を適切に当てはめて,甲の罪責について具体的に検討する必要がある。

 

 

令和2年度

本問は,甲が,⑴本件居室の賃貸借契約締結に際し,その契約書の賃借人欄に変更後の氏名ではなく変更前の氏名を記入するなどした上,同契約書をBに渡したこと,⑵その際,Bに対し,自己が暴力団員であることを告げず,本件居室の使用目的がA宅の監視目的であることを秘しつつ,Bとの間で同契約を締結し,本件居室の賃借権を取得したこと,⑶丙の顔面を拳で殴って丙を転倒させ,丙に急性硬膜下血腫の傷害を負わせ,さらに,丙の腹部を足で蹴って丙に腹部打撲の傷害を負わせ,丙を同急性硬膜下血腫の傷害により死亡させたことを内容とする事例について,甲の罪責に関する論述を求めるものである。
⑴については,有印私文書偽造罪・同行使罪の成否が問題になるところ,前者については,客観的構成要件要素である「偽造」の意義を示した上で,変更前の氏名は,甲が自営していた人材派遣業や日常生活で専ら使用していたものであることを踏まえつつ,前記契約書の性質に照らし,名義人と作成者との人格の同一性に齟齬が生じたといえるのか否かを検討する必要がある。
⑵については,2項詐欺罪の成否が問題になるところ,主に論ずべき点として,客観的構成要件要素である「人を欺く行為」(欺罔行為)の意義を示した上で,甲には家賃等必要な費用を支払う意思も資力もあったことを踏まえつつ,甲の属性(暴力団員であるか否か)や,本件居室の使用目的(暴力団と関係する活動か否か)が,前記契約締結の判断の基礎となる重要な事項といえるか否かを検討する必要がある。
⑶については,甲は,丙が取り出したスマートフォンをスタンガンと勘違いして,これで攻撃されると思い込みながら,自己の身を守るため,第1暴行(丙の顔面を殴る行為)を行っていることから,誤想防衛又は誤想過剰防衛の処理が問題になるところ,甲は,丙が意識を失っていることを認識したのに,丙に対する怒りから,第2暴行(丙の腹部を蹴る行為)を行い,丙に腹部打撲の傷害を負わせているため,第1暴行と第2暴行の関係を踏まえつつ,その擬律を判断する必要がある

   

 

 

 

令和5年度の出題分野予想

・出題予想としては、因果関係錯誤、過失犯、被害者の同意、原因において自由な行為、中止犯、遺棄罪、名誉棄損、住居侵入罪収賄からの出題がありそうです。

 

また、財産犯に関する何らかの論点、共犯に関する何らかの論点は過去の傾向からして高確率で必ず出そうです。特に、財産犯は、各犯罪の相互関係まで、しっかりと理解しましょう!

とくに、占有離脱物横領、背任、共犯と身分、承継的共犯が出題の可能性が高いかと思います。

 

・いずれにせよ、その場で考えさせるタイプの問題になるので、各犯罪の保護法益、各要件の趣旨、重要判例の内容、および問題文の状況をしっかり理解したうえで、論理的・合理的な解釈を行うよう心がけましょう!

 

・また最近の刑法の司法試験問題では、複数の理論構成を考えさせる問題も出ていますので、主要な学説も広くカバーしておきましょう! 

 

 

刑法の予備試験考査委員は司法試験考査委員と重なっているので、司法試験考査委員が予備試験の問題も作成している可能背があります。

学者委員のプロフィールや著作等については、下記記事も参考にしてみてください(私の上記出題予想もこれを一定程度踏まえています)。

kaishaho.hatenablog.jp

   

 

 

 

 

今回の記事は以上です。

本記事がみなさんの参考になれば幸いです(*^-^*)

それではまた!