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2023年(令和5年)司法試験考査委員(国際法学者)の分析

こんにちは、コポローです。

 

今回は、国際関係法(公法系)の司法試験考査員(学者枠)を紹介します。

司法試験の出題は、主として学者委員が問題案を持ち寄り、議論等を経て決まります。

 

ですので、学者委員の関心や考え方を知っておくことは有益です。

 

以下では、2023年の司法試験委員(国際法学者)2名について、専門分野や著作を紹介します。

   

 

 

 

①酒 井 啓 亘 (京都大学

京都大学卒。

現在、京大ロースクールの専攻長で、ご多忙。

 

研究テーマは次の通りです(京大ウェブサイトからの引用)

これまで、国連の平和維持活動(PKO)の変容をめぐる考察を軸に、冷戦後の国連平和維持機能の展開過程を実証的に検証してきたが、90年代末から現在まで設置され国連憲章第七章に基づく行動を許可されているPKOの事例研究から抽出されるPKOの活動原則(同意原則、公平原則、自衛原則)の再検討作業を終えたところである。
 現在は、その成果を踏まえて、国連と地域的機関との関係につき具体的事例を検討しながら、国連平和維持機能の包括的な評価を行う準備段階にある。
 研究会や共同プロジェクトにおける国際司法裁判所判例研究を通じて、国際裁判の手続的制度的展開とその法的意義のほか、国際判例を通じた国際法の実体法上の発展・法形成などにも注目し考察を行っている。」

  

最近の論文等

国際法学者は国際社会における「法の支配」の夢を見るか(第1回)国際社会における「法の支配」への憧憬と猜疑心と」 書斎の窓  2023-05

国際連合の下での国際秩序維持の諸相 : 国際行政・紛争処理・安全保障」世界法年報 世界法学会 編 (42) 58-86, 2023-03

「進行中の武力紛争と国際司法裁判所 : ロシア・ウクライナ紛争にみる国際司法裁判の役割と限界」国際問題  『国際問題』編集委員会 編 (710) 34-43, 2022-12

アフガニスタン・イスラム首長国タリバン政権と政府承認 : 時の問題 法学教室 (498) 46-50, 2022-03

「領域紛争における時際法原則の役割について : 国際判例の動向を中心に 」法学論叢 188(4-6), 87-126, 2021-03

「国際裁判における非拘束的文書の役割と裁判所の機能」国際法外交雑誌118(2), 201-230, 2019年

 「国際司法裁判所と「国際立法」 : グローバル化時代の国際社会におけるその意義」法律時報 89(10), 27-32, 2017年

「国連平和活動と日本の国際平和協力の今後 : 「9条-PKO活動原則体制」の下での課題」国際問題(654), 17-28, 2016年

 

 

酒井先生著作(共著)の教材

 

☝初学者向けに図表等を多用した、分かりやすいテキストです。

 

 

 

☝量と(解説の)質の両面において、定評のある判例教材です。

   

 

 

 

 

 

②寺谷 広司(東京大学

令和4年度から司法試験考査委員に加わりました。

「てらたに」ではなく、「てらや」と読みます。

 

東京大学卒。アメリカ・イギリスの大学に留学(在外研究)経験あり。

専門分野は、「国際法国際法の基礎理論、国際人権法、国際人道法、国際刑事法」とのこと。

 

最近の論文等

「新型コロナウィルス感染症の世界的流行における人権保護 : 国際人権条約における緊急事態条項の視角から (特集 COVID-19)」国際法外交雑誌 120(1・2), 235-246, 2021-08

国際人権条約の解釈をめぐる一考察 : 全体論、過程論、立憲主義からの把握」
国際法外交雑誌 119(4), 495-519, 2021-01

「人権一般条約の実効性と公正性 : 「建設的対話」の制度的条件に関する覚書 (焦点 国際手続きによる人権保護の展開)」国際問題, 5-18, 2019-04

「人権条約システム参加の背景及び促進戦略とその理論的含意 : 特に強制失踪条約を例に 」法律時報 90(12), 78-85, 2018-11

 

寺谷先生ご執筆の教科書(共著)

 

 

 

☝少し古いですが、非常に詳しく、わかりやすい、自学自習用に最適の教科書です。

同じく考査委員の酒井先生も執筆者に含まれています!

※レビュー抜粋☟

「従来の教科書とは構成を変え、生徒が自学自習できるものを、というコンセプトで作られた教科書。普通の教科書類との構成が改められ、更に、国際法学会の新しい動きを取り入れ用語などが大幅改正されているので、初学者がテスト対策などに使う場合は、その他の教科書(アルマや講義国際法)とあわせて、辞書代わりに使うと良いかと思う。かなり厚めだが、最新の学説・判例の引用や法哲学からの知見なども盛り込まれ、読み応えがあり、勉強になり、かつ、かなり楽しい良書だと思う。国際法の中堅学者中心の四人による共著。」

 

 
以上の2名の先生については、論文や判例評釈(百選解説など)を見かけたときに、積極的に読んでみるとよいと思います!!問題意識や考え方を知ることができるからです。
 
考査委員の著作等については、今後も、随時情報更新していきます!
それではまた!!
 
 
 
 
 
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