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2023年(令和5年)司法試験考査委員【刑法学者】の分析

こんにちは、コポローです。

今回は、刑法の司法試験考査員(学者枠)を紹介します。

 

司法試験の出題は、主として学者委員が問題案を持ち寄り、議論等を経て決まります。ですので、学者委員の関心や考え方を知っておくことは有益です。

以下では、2023年の司法試験委員(刑法学者)3名について、専門分野や著作を紹介します。

昨年から2名交代したので、出題傾向も変わるかもしれません。注意が必要です。

   

 

 

 

①安 田 拓 人 (京都大学

令和5年度から司法試験考査委員です。

京都大学法学部卒業。師匠は中森先生。

専門は、責任能力ですが、過剰防衛・緊急避難等も研究されています。

  

最近の著作

★2021年4月~2023年3月まで、法学教室で「刑法総論の基礎にあるもの」という連載記事を書かれています。全24回で、刑法総論の重要論点がカバーされています。

・「刑事責任能力の本質とその具体的判断」 判例時報 (2538) 120-128, 2023-01-21

・特殊詐欺における実行の着手法律時報, 2020年11月, 

・賄賂罪における「職務に関し」の意義 法学教室, 2020年06月, 

裁判員裁判のもとでの責任能力判断および精神鑑定のあり方 司法精神医学, 2018年03月, 

・内縁関係ある者による不法残留罪の幇助の成否[東京高裁令和元.7.12判決] (判例セレクトMonthly 2019.8.1~2019.8.31)法学教室, 2019年12月

 

安田先生著作(共著を含む)の教材

 

☝非常に定評のある演習書です!個人的にもイチオシの演習書です。

 

 

 

 

☝初学者でも使える基本的な演習書です。

 

 

 

 

☝2022年に新版が出た演習書で、解説が丁寧です。

※なんと司法試験考査委員3名全員が著者に入っている。マストバイです!

※レビュー抜粋☟

本書には、『刑法事例演習教材』よりも優れている点がある。解説が丁寧であること、文献の引用も充実していること、そして何より、全ての設問に司法試験合格者による解答例が付されていることである(これは本書の最大の特色でもあるといえよう)。法律学の論文試験における答案のイメージを掴む上では、本書の解答例は格好の素材であろう。

 

 

 

 

 

②髙 橋 直 哉(中央大学

 令和5年度から司法試験考査委員です。

幅広い分野について論文や評釈を書かれています。

 

最近の著作等はこちら↓

・「法益保護」法学教室 (511) 38-42, 2023-04

・保護責任者でない者による保護責任者遺棄罪の共犯[福岡地裁令和4.9.21判決]法学教室 (509) 149-, 2023-02

・不法領得の意思の肯否. 法学教室. 2022. 505. 140
・ いわゆるキャッシュカードすり替え型の窃盗罪につき実行の着手があるとされた事例. 法学教室. 2022. 501. 129-129
・ひそかに睡眠導入剤を摂取させて自動車を運転させる行為と殺人の故意. 法学教室. 2022. 497. 127
・ アダルトサイトの管理・運営者に対するわいせつ電磁的記録記録媒体陳列罪及び公然わいせつ罪の共同正犯の成否. 法学教室. 2021. 493. 142-142

・ 死体遺棄罪の成否. 法学教室. 2021. 489. 170
・ 終末期医療における人間の尊厳. 『日本比較法研究所日独国際シンポジウム 終末期医療、安楽死尊厳死に関する総合的研究』. 2021
・本名とは異なる呼称を用いて署名した場合の私印(署名)偽造罪の成否. 法学教室. 2020. 482. 141
・ 中立的行為と幇助. 刑法判例百選Ⅰ(第8版). 2020
・ 毀棄目的と不法領得の意思. 刑法判例百選Ⅱ(第8版). 2020

 

 

高橋先生執筆の教科書はこちら☟

 

 

※2022年に出たばかりですが、なかなか好評のようです。

レビュー抜粋↓

著者の法科大学院での講義に定評があることは、全くの部外者である私ですら耳にしたことがあるほどで、今回、その噂の講義が書籍化されたと知って早速読んでみることにした。結論から言えば、とても素晴らしい本である。臨場感溢れる生の話し言葉によって、議論の対立点を的確に整理し、具体的事例における判断枠組みを明快に提示していく。柔らかな口調でありながら、内容は至って正確である。また、著者による問題提起は、いずれもシンプルながら奥深い内容であり、考えることの楽しさを我々読者に教えてくれる。恐るべき完成度の講義である。本書は、刑法解釈論に関する一定の知識があることを前提にしており、全くの初学者に向けた入門書ではないという点には留意する必要があるが、刑法が好きな学生はもとより、刑法に苦手感を持っている学生も、是非とも手に取って読んでみてほしい本である。

 

高橋先生が共著者の演習書はこちら☟

 

 

※なんと司法試験考査委員3名全員が著者に入っている。マストバイです!2回目。

   

 

 

 

③ 十 河 太 朗(同志社大学

 

同志社大卒。専門は共犯。

 

最近の論文等

論文批評:山下裕樹「遺棄罪の諸概念の内容について(1)~(3・完)」 法律時報 95 (4), 134-137, 2023-04

詐欺幇助罪の成立が認められた事例[広島高裁令和4.7.27判決]法学教室 (512) 118-, 2023-05

作為および不作為による死体遺棄罪の成否[福岡高裁令和4.1.19判決] 法学教室 (508) 132-, 2023-01

本人のためにする意思と委託物横領罪 研修 (892) 3-16, 2022-10

収賄罪の成立が否定された事例[大阪地裁令和4.2.22判決]法学教室 (504) 123-, 2022-09

包括的共謀による共同正犯[福岡地裁小倉支部令和3.11.5判決] 法学教室 (500) 106-, 2022-05

占有移転罪の既遂後の関与について  同志社法學74 (1), 143-165, 2022-04-30

「自転車の一時使用について占有離脱物横領罪の成立が認められた事例[福岡高裁令和3.3.29判決」法学教室 (496), 130, 2022-01

「自招侵害と正当防衛の成否[横浜地裁令和3.3.19判決]」法学教室 (492), 132, 2021-09

「遺棄(特集 条文から学ぶ刑法)」法学教室 (489), 26-31, 2021-06

「共犯関係の解消と共謀の射程 (特集 共犯論の現状と課題)」刑法雑誌60(1-3), 39-51, 2021-01

「共謀の射程の意義 」同志社法学72(4), 1341-1360, 2020-10

「共謀の射程、共犯関係の解消 (特集 ケーススタディで考える特殊詐欺)」法学セミナー 64(12), 26-32, 2019-12

 「結果的加重犯の共同正犯に関する一考察 」同志社法学69巻7号(瀬川晃教授古稀記念論集)2977頁(2018)

「騙されたふり作戦と詐欺未遂罪の共犯」同志社法学70巻2号(2018)413頁

「身分犯と『作為義務』」 (特集 「作為義務」の各論的検討)刑法雑誌56巻2号292頁(2017)