こんにちは、コポローです。
今回は、国際関係法(私法系)の司法試験考査員(学者枠)を紹介します。
司法試験の出題は、主として学者委員が問題案を持ち寄り、議論等を経て決まります。
ですので、学者委員の関心や考え方を知っておくことは有益です。
以下では、2023年の司法試験委員(国際私法学者)2名について、専門分野や著作を紹介します。
①中西 康(京都大学)
令和5年から考査委員になりました。
京都大卒。
専門は、以下のとおり。
「最近の研究テーマは第1に,研究開始当初からの長期的なテーマである、外国判決の承認と準拠法選択の関係など、渉外的法律関係を規律する各種手法の比較検討である。この関連で,外国で裁判所による決定がない単なる「状況」の承認とよばれる新たな問題や,人権と国際私法の関係にも関心を有して検討している。 第2のテーマはより短中期的なもので,国際民事手続法,とりわけ国際裁判管轄について,当事者の意思の役割とその限界の視点から検討している。 第3に,以上の研究テーマを補完するものとして,国際裁判管轄など,国際私法に関する新たな立法などについてわが国の判例学説を整理して解釈論を展開している。」(京大HPより)
下記の通り、最近は、国際民事手続法の著作が多いようです。
最近の論文等
・外国判決の内容の了知の機会と民訴法一一八条三号の手続的公序(最高裁平成31年1月18日判決評釈) 私法判例リマークス60号(2020)138-141頁 60号 138-141, 2020
・民事上の損害賠償請求における我が国独禁法の適用 ジュリスト 1560 21-26, 2021
・ロシア連邦の裁判所への国際裁判管轄の合意の有効性及び専属性 私法判例リマークス 54号 146-149, 2017
・不貞行為に関連してなされた名誉・信用毀損の準拠法 ジュリスト 1492号 302-303, 2016
中西先生の執筆(共著)された教科書
②北 澤 安 紀(慶応義塾大学)
出身学部:慶應義塾大学法学部法律学科(1991年卒業)
出身大学院:慶應義塾大学大学院法学研究科民事法学専攻修士課程(1993年修了)、一橋大学大学院法学研究科民事法専攻博士後期課程(1996年単位取得退学)
専門は国際私法で、特に、反致や、債権譲渡の準拠法を研究されています。
最近の論文等
(判例評釈)婚姻届に関するいわゆる届出意思および届出の追認の準拠法 平成29年度重要判例解説 (ジュリスト1518号) 308 頁 2018年
「国際契約における当事者自治の原則 : パナマ新国際私法典における対等当事者間・非対等当事者間の契約準拠法」法学研究93(5), 1-26, 2020-05
「準拠法の特定」法学教室 424 号 26頁 2016年
「手形法・小切手法中の抵触規則に関する一考察−手形法・小切手法の現代語化との関係で」法学研究 (慶應義塾大学法学研究会) 87巻 11号 1頁 2014年
「EU国際私法における承認論 」法学研究 88(1), 147-176, 2015-01
最近の著作(共著)はこちら↓
信頼できる執筆陣によるわかりやすい教科書です。
上記の通り、もう一人の考査委員である中西先生も執筆者で、必須級におすすめ。