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2023年(令和5年)司法試験の出題分野予想【民法】

こんにちは。コポローです。

今回は2023年の司法試験の出題分野(民法)を予想します。

 

司法試験の出題は、原則として、過去3年程度の過去問(予備試験を含む)と出題分野が重ならないように配慮されているといわれていますので、まず、過去3年程度の出題分野は予想から除外します。

 

過去の出題分野は下記の通りです(過去問をまだ解いていない人はネタバレを含みますので閲覧注意です)。

   

 

 

 

司法試験の出題動向(出題の趣旨からの抜粋)

 

令和4年度

設問1⑴は、虚偽の外観を信頼して取引をした者の保護をどのような要件の下で図るか

という問題に関する理解を問うものである。設問1⑴においては、甲土地の所有権登記がAからB、BからCと順次移転しているが、Bは無権利者であり、Cが外観を信じて取引をした者として保護されるかが問題となる。虚偽の外観の作出・存続に本人の意思が直接には関与していない事例について、判例は、民法(以下「法」という。)第94条第2項と第110条の法意を重畳的に適用することによって、権利外観法理の伸張を図っている。本問の解答としては、この判例法理の趣旨を正確に理解した上で、本人の帰責性の程度を勘案しつつ第三者に求められる要件を論じ、本問に当てはめて結論を導くことが求められる。

設問1⑵は、Aが、甲土地をDとBに二重譲渡した事例であり、登記名義はAからB、BからCへと順次移転している。登記のない譲受人が自己の所有権取得を登記のある譲受人に対抗するための方途としてまず考えられるのは、登記を有する譲受人が背信的悪意者であるとの主張である。通説・判例によれば、法第177条にいう「第三者」には背信的悪意者は含まれず、登記がなくても物権の取得を対抗することができる(最判昭和40年12月21日民集19巻9号2221頁、最判昭和43年8月2日民集22巻8号1571頁等)

 次に、Aは、財産権移転義務・登記移転義務を負っているDを害することを知りながら、評価額よりも低い価額で、唯一のめぼしい財産である甲土地をBに売却し、登記移転をしている。Dとしては、この売買契約が詐害行為に当たるとして(法第424条)、転得者Cに対し、法第424条の5に基づいて詐害行為取消権を行使することが考えられる。

 

設問2は、賃貸不動産が債権担保を目的として譲渡された場合における法第605条の
2第1項及び第2項の適用可能性を問うものである。事案は、対抗要件を備えた賃借権の負担が付いた不動産が債権担保の目的で譲渡され、その譲渡につき所有権移転登記がされた場合において、被担保債権の弁済期が経過した後、設定者の受戻権が存続する状態で、設定者が賃借人に対して賃料の支払を請求した、というものである。設定者(譲渡人)FがHに債務αを弁済することなく、賃借人Gに賃料を請求したのに対して、Gが法第605条の2第1項に基づいて、Fは所有権とともに賃貸人の地位をも喪失したと主張して(下線部㋐)Fに対する賃料の支払を拒絶した場合に、Fからの反論として想定される根拠(下線部㋑㋒)の妥当性につき検討することが求められている。

 

   

 

令和3年度

設問1は,民法第192条及び第193条に関する基本知識を確認する趣旨の出題であり,これらの規定がどのような関係に立つか,指図による占有移転による即時取得は認められるか,盗品・遺失物につき被害者が回復請求をするまでの使用利益が誰に帰属するかなどについて理解を問うものである。

設問2は,有償の役務提供契約が中途で終了した場合の法律関係を,特にその場合の報酬及び損害賠償について問うものである。当該役務提供契約の性質決定に関して,当該契約における債務の内容及びその特徴を明らかにし,民法の規定する役務提供型の契約類型の特質を踏まえて,当該契約の性質を決定することができるか,また,それを前提として,その中途終了の場合の報酬や損害賠償に関連する民法の規定の構造を理解しているか,契約類型に伴う異同について理解しているかを問うものである。 

設問3は,連帯保証ないし共同保証に関する条文と判例を正確に理解し,これを事例の解決のために適切に用いることができるかを問うものである。 

 

令和2年度

設問1は,令和2年4月1日に施行された民法(債権関係)の改正法を踏まえ,契約不適合責任,債務不履行,相殺,債権譲渡等といった民法債権編の複数の制度・規定について,基本的な理解ができているか,その理解を具体的事例における救済手段の検討を通じて適切に展開することができるかを問うもの

設問2は,公道に至るための他の土地の通行権(以下「隣地通行権」という。)の成立要件及び効果に関する基本的知識及び理解を問うとともに,有償の地役権設定契約の解除の可否を地役権設定契約の構造及び解除制度の意義から導き出す論理的思考力を問うもの

 設問3は,夫婦の一方による他方の特有財産の売却の効力を問うものである。夫婦の日常家事の連帯債務(民法第761条)の構造やそれをめぐる議論を正確に理解し展開することができるかを確認し,併せて無権代理の基本的な法律関係及び相続についての基本的な事項の理解を確認するものである

 

   

 

予備試験の出題動向(出題の趣旨からの抜粋)

令和4年度

設問1は、請負契約の内容に適合しない仕事の目的物が引き渡されたが、その目的物は契約内容に適合した仕事の目的物よりも客観的価値が増加している事例を題材として、契約不適合責任としての報酬減額請求の可否及び修補に代わる損害賠償請求の可否を問うものである。請負の契約不適合責任や債務不履行責任に係る民法の規律構造を踏まえた上で、事案に即した論述を展開することが求められる。
設問2は、所有の意思なく不動産を占有していた者の相続人が、自らが所有者であると信じて占有を開始した事例を題材として、取得時効の成否を問うものである。いわゆる他主占有の自主占有への転換の成否とその時期(取得時効の起算点)を踏まえた上で、事案に即した論述を展開することが求められる。

 

   

 

 

令和3年

設問1は,制限種類債権の全部が履行不能になったと評価できる事例を題材とし
て,その目的が相互に密接に関連付けられている2個の契約の一方の債務不履行
理由として他方を解除することができるかを問う問題である。どのような場合に履
不能と評価されるかという問題を通して,債権法の基本的な理解を問うとともに,
複合的契約の債務不履行と解除という応用的な事例について,論理的な思考力及び
事案に応じた当てはめを行うことを求めるものである。


設問2は,集合動産譲渡担保と所有権留保の優劣が問題になり得る事例を題材と
して,集合動産譲渡担保及び所有権留保という非典型担保の効力について,事案を
分析して,法的に論述する能力を試す問題である。非典型担保に関する判例法理に
ついての基本的な理解を問うだけでなく,非典型担保の法的構成や物権変動論への
理解を組み合わせて,事案に応じた分析及び法的思考に基づく結論を説得的に論述
することが求められる

 

令和2年度
設問1は,高齢者が事理弁識能力を失った後に,その親族が本人の代理人として
契約を締結し,その後に本人の後見人に就職したという事例を題材に無権代理
の後見人就職という論点について問う問題である。無権代理人が後見人に就任した
場合には,無権代理人の本人の地位を相続した場合と同様に,追認拒絶の可否が問
題となり得るが,解答に当たっては,問題の所在を的確に指摘した上で,相続事例
との異同等を踏まえながら,事案に即した論述をすることが求められる。
設問2は,債務者の唯一のめぼしい責任財産である不動産について詐欺による売
買契約が行われた事例を題材として,詐害行為取消権と債権者代位権に関する民法
の規律の基本的知識を問うとともに,取消権の代位行使の可否について論理的な法
的思考ができるのかを問うものである。解答に当たっては,詐害行為取消権と債権
者代位権の要件該当性等について事案に即した検討をするとともに,特に債権者代
位権の行使については,表意者保護のために認められている詐欺取消権等が代位行
使の対象となるか否かについて論理的に分析をすることが求められる。

 

 

 

 

 

令和5年度の出題予想

民法は幅広い分野から出題されているので、満遍なく勉強しておくことが重要ですね。相続法も、基本についてはしっかり勉強しておきましょう。

 

・出題予想としては、錯誤消滅時効、共有、留置権抵当権の物上代位、法定地上権、譲渡担保、履行補助者、受領遅滞、債権者代位権の転用、身分行為と詐害行為取消し、債権の準占有者弁済(478条)、弁済者代位、組合、不当利得、法人の不法行為(組織的過失や安全配慮義務とからめて)・使用者責任(履行補助者や逆求償とからめて)工作物責任・共同不法行為遺言、遺留分減殺請求あたりから出題がありそうです。

 

・いずれにせよ、その場で考えさせるタイプの問題も少なくないので、各制度趣旨や問題文の状況をしっかり理解したうえで、論理的・合理的な解釈を行うよう心がけましょう!

 

なお、司法試験の出題は、主として学者委員が問題案を持ち寄り、投票・議論等を経て決まります。ですので、学者委員の関心や考え方を知っておくことは有益です。

学者委員のプロフィールや著作等については、下記記事も参考にしてみてください(私の上記出題予想もこれを一定程度踏まえています)。

 

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他の科目の出題予想はこちら

 

 

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