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2023年(令和5年度)司法試験の出題分野予想【刑事訴訟法】

こんにちは、コポローです。

今日は、令和5年度司法試験(刑事訴訟法)の出題分野について、いくつか予想したいと思います。

司法試験の出題は、原則として、過去3年程度の過去問(予備試験を含む)と出題分野が重ならないように配慮されているといわれていますので、まず、過去3年程度の出題分野は予想から除外します。

過去の出題分野は下記の通りです(過去問をまだ解いていない人はネタバレを含みますので閲覧注意です)。

 

 

 

 

 

 

司法試験の出題動向(出題の趣旨からの抜粋)

令和4年

本問は、大麻取締法違反事件及び非現住建造物等放火事件を素材として、捜査及び公判に関する具体的事例を示し、各局面で生じる刑事手続上の問題点、その解決に必要な法解釈、法適用に当たって重要な具体的事実の分析及び評価並びに具体的結論に至る思考過程を論述させることにより、刑事訴訟法に関する基本的学識、法適用能力及び論理的思考力を試すものである。
〔設問1〕は、大麻密売の疑いのある者として把握されていた甲に対するおとり捜査の適法性を論じさせることにより、おとり捜査の適法性の判断基準に対する理解と具体的事案への適用能力を試すものである。

法性について論じることが求められる。
〔設問2〕について、まず〔設問2―1〕は、非現住建造物等放火事件の犯行態様の一部について公訴事実と裁判所の心証との間にずれが生じた事例について、裁判所が現訴因のまま自己の心証に従って判決をすることができるか否かを問うことにより、訴因変更の要否に関する判断枠組みに対する理解と具体的事案への適用能力を試すもの

〔設問2-2〕は、共謀共同正犯において、検察官が冒頭陳述で釈明した共謀の日にちと裁判所が心証を形成した共謀の日にちとの間にずれが生じた事例について、裁判所がその心証に従って判決をすることができるか否かを問うことにより、検察官の釈明の効果及びそれを踏まえた裁判所の採るべき措置に対する理解と具体的事案への適用能力を試すもの

 

令和3年度

本問は,住居侵入強盗事件を素材として,捜査及び公判に関する具体的事例を示し,各局面で生じる刑事手続上の問題点,その解決に必要な法解釈,法適用に当たって重要な具体的事実の分析及び評価並びに具体的結論に至る思考過程を論述させることにより,刑事訴訟法に関する基本的学識,法適用能力及び論理的思考力を試すものである。
〔設問1〕は,警察官が行った名刺1枚の差押え(以下「下線部①の差押え」という。)及びUSBメモリ2本の差押え(以下「下線部②の差押え」という。)の適法性を検討させることにより刑事訴訟法の規定する差押えの要件に関する法的問題の理解と具体的事案への適用能力を試すものである

〔設問2〕は,乙の公判において証拠調べ請求された乙作成の本件メモ1(〔設問2-1〕),甲作成の本件メモ2(〔設問2-2〕)について,それぞれの証拠能力の有無を問うことにより,刑事訴訟法第320条第1項の伝聞法則についての正確な理解と具体的事実への適用能力を試すものである。

 

 

令和2年度
〔設問1〕は,H市内で夜間に発生したV方における住居侵入窃盗事件(以下「本件住居侵入窃盗事件」という。)に関し,司法警察員P及びQが,その2日前の夜間に同市内で発生した,手口が類似するX方における住居侵入未遂事件(以下「X方における事件」という。)で目撃された甲をH警察署まで任意同行した上,約24時間という長時間にわたり,一睡もさせずに徹夜で,更に偽計も用いて実施した取調べ(以下「下線部①の取調べ」という。)の適法性を論じさせることにより,刑事訴訟法第198条に基づく任意捜査の一環としての被疑者の取調べがいかなる限度で許されるのか,すなわち,被疑者に対する任意取調べの適法性に関する判断枠組みの理解及び具体的事実への法適用能力を試すものである。

〔設問2〕は,甲の自白が,前記のとおり,長時間にわたり,徹夜で行われた取調べにおいて,偽計を用いて獲得されているところ,まず,〔設問2-1〕において,自白法則及び違法収集証拠排除法則の自白への適用の在り方を一般的に問うた上,次いで,〔設問2-2〕において,〔設問2-1〕で論じた自己の見解に基づいて甲の前記自白の証拠能力を論じさせることにより,自白法則及び違法収集証拠排除法則という証拠法における基本原則が,自白という供述証拠にどのように適用されるのか(後者については適用の有無自体も含む。)についての基本的な理解と,それを踏まえた,具体的事例を解決するための法的思考力を試すものである。

 

 

   

 

 

 

予備試験の出題動向(出題の趣旨からの抜粋)

 

令和4年
本問は、Aに対する覚醒剤取締法違反事件において、警察官がA、Aの妻甲及びその
息子乙が居住するアパート居室(以下「A方居室」という。)を捜索場所とする捜索差押許可状(以下「本件許可状」という。)の発付を受け、本件許可状に基づきA方居室の捜索を実施したところ、設問1では、甲がその場で携帯していたキャリーケースを捜索した事例において、本件許可状によって、甲の携帯物を捜索することが許されるのかについて、最高裁判所判例(最決平成6年9月8日刑集48巻6号263頁)をも踏まえた検討をさせることを通して、憲法35条が捜索する場所及び押収する物を明示する各別の令状を要求している趣旨や、「場所」に対する捜索許可状に基づき、その場所に存在する「物」を捜索することの可否についての基本的理解を問うものである。

また、設問2は、上記捜索中に同居室に帰宅した乙が携帯していたボストンバッグを、有形力を行使して捜索した事例において、最高裁判所判例(最決平成19年2月8日刑集61巻1号1頁)の基本的な理解を踏まえつつその適否を検討させることを通して、本件許可状の効力が令状呈示後に同居室内に搬入された物品に及ぶか、また、捜索の際に処分を受ける者の身体に有形力を行使することの可否及び限度といった、令状による捜索の実施に当たり許される処分の範囲についての基本的理解を問うものである。
設問1及び2のいずれも刑事訴訟法の基本的な学識の有無及び具体的事案における応用力を問うものである。

 

令和3年度

本問は,共犯者2名による住居侵入,強盗傷人事件において,設問1では,事前
に被害者から犯人や被害品の特徴を聴取し,防犯カメラの画像でもこれを確認して
いた警察官が,犯行の約2時間後,犯行現場から約5キロメートル離れた路上で,
犯人の特徴と一致する2名の男を発見し,そのうち1名が被害品の特徴と一致する
バッグを所持していたことから,その男に声をかけたところ,両名が逃走したため,
これを追跡し,途中で上記バッグを投棄した1名を刑事訴訟法第212条第2項に
基づき逮捕(準現行犯逮捕)した事例において,この逮捕が,準現行犯逮捕の要件
を充足するかどうかを検討させることを通じて,準現行犯逮捕が令状主義の例外と
して認められる趣旨や,準現行犯逮捕の条文構造を踏まえた具体的事案における適
用のあり方を示すことを求めるものである。

設問2では,逮捕された被疑者について,間近い時期に被疑者を未発見の凶器の投棄現場に案内させ,その立会の下で同所の実況見分を実施する確実な予定がある中で,弁護人となろうとする者から,被疑者との初回の接見を30分後から30分間行いたい旨の申出があったのに対し,接見の日時を翌日と指定した事例において,接見指定の要件である「捜査のため必要があるとき」(刑事訴訟法第39条第3項本文)の意義や,初回接見についての指定内容と同項ただし書の「指定は,被疑者が防御の準備をする権利を不当に制限するようなものであってはならない。」との関係についての理解を踏まえて,当該指定の適否を検討させるものである。その検討においては,最高裁判所判例最高裁平成11年3月24日大法廷判決,最高裁平成12年6月13日第三小法廷判
決等)を意識して自説を展開する必要がある。

 

令和2年度
本問は,常習傷害罪として包括一罪を構成する可能性がある複数の行為の一部に
つき,確定判決を経た事件(以下「前訴」という。)と,前訴の確定判決前に犯さ
れたが同判決後に発覚して起訴された行為に関する事件(以下「後訴」という。)
の両者,あるいは一方が,単純一罪として訴因構成された事例において,前訴の確
定判決の一事不再理効が及ぶ範囲の検討を通じ,刑事訴訟法の基本的な学識の有無
及び具体的事案における応用力を試すものである。

 

 

 

 

 

令和5年度の出題分野予想

・例年、捜査から1題、公訴・公判から1題、出題されています。

捜査からの出題予想としては、ビデオ撮影ゴミの領置所持品検査、GPS捜査、検問現行犯逮捕、任意同行の違法性、勾留の違法性、別件逮捕勾留、逮捕に伴う捜索・差押え、報道機関に対する捜索・差押さえあたりから出題がありそうです。

公訴・公判からは、公訴権濫用、訴因の特定、訴因変更の可否、約束による自白、補強法則、科学的証拠伝聞証拠(伝聞・非伝聞)、刑訴法328条共犯者の供述択一的認定あたりが出題されそうです。

 

・近時の傾向として、その場で考えさせるタイプの問題になりそうなので、各制度や条文の趣旨、重要判例の内容を理解したうえで、問題文の状況をしっかり読み込み、事案に即した論理的・合理的な解釈・あてはめを行うよう心がけましょう!

 

なお、司法試験の出題は、主として学者委員が問題案を持ち寄り、投票・議論等を経て決まります。ですので、学者委員の関心や考え方を知っておくことは有益です。

学者委員のプロフィールや著作等については、下記記事も参考にしてみてください(私の上記出題予想もこれを一定程度踏まえています)

 

kaishaho.hatenablog.jp

 

今回の記事は以上です。

本記事がみなさんの参考になれば幸いです(*^-^*)

それではまた!

 

他の科目の出題分野予想はこちら

 

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