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2023年(令和5年)司法試験の出題予想【憲法】

こんにちは。コポローです。

今回は、2023年(令和5年)の司法試験【憲法】の出題予想をしたいと思います。

 

司法試験の出題は、原則として、過去3年程度の過去問(予備試験を含む)と出題分野が重ならないように配慮されているといわれていますので、まず、過去3年程度の出題分野は予想から除外します。

本記事は、①司法試験の出題動向、②予備試験の出題動向、③2023年の出題予想の順で書かれています。(①②は過去問をまだ解いていない人はネタバレを含みますので閲覧注意です)。

   

 

 

司法試験の出題動向(出題の趣旨からの抜粋)

令和4年

本問は、大学の自治と学問の自由との関係、学問の自由の射程とその制約の可否について、問うものである。学問の自由については、学問研究の自由、研究発表の自由、教授の自由が含まれることについても、留意する必要がある。
決定①については、大学が進める研究方針に基づく研究助成の趣旨に合致しないことを理由とした、学問研究の自由の制約が問題となる。決定②については、大学の成績評価として著しく妥当性を欠くことを理由とした、教授の自由の制約が問題となる。

決定①、決定②の双方について、大学が研究・教育の内容や方法に関し大学の自治に基づきどこまで自律的に決定できるのか、学問研究と関連する社会的活動にどこまで学問の自由の保障が及ぶのか、特定の見解(観点)に基づく差別的取扱いがなされていないかなどの論点に留意しつつ、議論を組み立てる必要がある。 

 

令和3年

本問は,匿名表現の自由の制約(規制①),結社の自由,団体とその構成員の表現の自由・プライバシーの権利の制約(規制②)の可否を問うものである。

規制①は,集団行進(集団示威運動を含む)における公共の安全を害する行為の抑止を目的に,行進参加者が覆面や仮面等で顔を隠し容貌の確認を困難にする行為を禁止するものである。単に,集団行進への参加の態様の制約にとどまらず,匿名での表現の制約という問題を含むことに留意する必要がある。
規制②は,公共の安全を害する行為を実効的に抑止するため,そのような行為を助長する団体の活動を把握し,集団行進に際し所要の措置を採ることを可能にするという目的のもと,集団行進において公共の安全を害する行為を行った者が一定比率以上含まれる団体を観察対象として指定するとともに,当該団体がその活動のために利用している機関紙,ウェブサイト,SNSのアカウント等について,報告を義務付けるものである。また,上記の目的に加えて,団体の活動を観察対象とすることで,団体の表現活動を抑止しようという狙いもうかがえる。かかる措置は,結社の自由,団体の表現活動・プライバシーの制約に加えて,その構成員の表現活動・プライバシーをも制約するものとなっている。 

 

令和2年度

本年の問題は,職業の自由及び移動の自由に対する制約の可否を問うものである。
規制①は,生活路線バスを運行する乗合バス事業者にのみ高速路線バスの運行を認めるものであるため,専ら高速路線バスのみを運行してきた乗合バス事業者の職業の自由を制約することになる。同時に,規制①は,生活路線バスへの新規参入について,既存の生活路線バスを運行する乗合バス事業者の経営の安定を害さない場合に限り,認めるものとしている。
また,規制②は,特定の渋滞区域について,域外からの自家用車の乗り入れを原則として禁止するものであるため,当該区域の住民以外の者の移動の自由を制約することになる。

 

 

 

 

 

 予備試験の出題動向(出題の趣旨からの抜粋)

令和4年

本問は、公的資金を注入され、公的管理下に置かれた地方の私鉄の労働者について争議行為を禁止し、そのあおり、そそのかしを処罰することが、憲法第28条に違反しないかについて、必要に応じて判例に触れつつ論じることを求める問題である。
まず、労働基本権の制限が公共の福祉のための必要やむを得ない限度の制限(全農林警職法事件判決(最大判昭和48年4月25日、刑集27巻4号547頁)参照)に当たるかどうかをどのような枠組み又は基準を用いて判断するかが問題となる。これについては、例えば、全逓東京中郵事件判決(最大判昭和41年10月26日、刑集20巻8号901頁)が採った、労働基本権を尊重する必要性と規制する必要性とを比較衡量するという手法のほか、いわゆる厳格な合理性の基準(規制目的が重要なものであり、手段が目的と実質的に関連していなければならないとする基準)のような違憲審査基準を用いるということも考えられる。ただし、「労働基本権が社会権であるから厳格な合理性の基準が妥当する」といった大雑把な理由付けではなく、本問の法律案が労働基本権の行使を禁止し、違反に対して刑罰を科すものであり、労働基本権の自由権的な側面を制限するものであることに着目するなど、規制の性質をも踏まえた理由付けが望ましい。
問題文では、特別公的管理鉄道会社の従業員が争議行為を禁止される理由が3つ挙げられているので、その3点が争議行為を禁止することを正当化できるものであるかどうか、前記の2判決のほか全逓名古屋中郵事件判決(最大判昭和52年5月4日、刑集31巻3号182頁)も参考にしながら、検討しなければならない。例えば、理由①を認めるならば、結局、公的な財政支援を受けている事業については全て争議行為を禁止できることになってしまわないかが問題となろう。また、理由②については、争議行為により経営再建に支障を及ぼすほど利用者が減少するかどうかは、争議行為の内容、規模、頻度によるのではないかが問題となろう。理由③は、全農林警職法事件判決の勤務条件法定主義を根拠とした議会制民主主義論に類似したものであるが、これに対しては、労働条件を労使だけで決定できなくても、争議権を行使する余地があるという反論、具体的には、本問の法律案の下でも、従業員は、賃金などの基本的な労働条件の案を国土交通大臣に示すよう会社に求めて争議行為をする余地がある、という反論があり得よう。
さらに、本問の法律案は争議行為を禁止するだけでなく、争議行為をあおり、そそのかした者を処罰するとしているので、この点についても検討が必要である。争議行為の禁止が憲法第28条違反であるとする立場を採る場合には、当然、争議行為のあおり、そそのかしの処罰規定も憲法第28条違反ということになるが、その点について確認しておくべきである。争議行為の禁止自体が憲法第28条に違反しないという立場を採った場合には、あおり、そそのかしの処罰規定を、いわゆる原動力論で正当化できるかが問題となる。また、都教組事件判決(最大判昭和44年4月2日、刑集23巻5号305頁)の趣旨を踏まえて処罰範囲を限定した法文にすべきとの主張もあり得よう。

 

令和3年度

本問は,地域の歴史的な環境を維持し向上させていくためになされる表現活動
の規制について,憲法第21条等との関連で検討することを求めるものである。
本問の条例案は,歴史的な環境を維持し向上させていくために特に規制が必要な
地区である「特別規制区域」について広告物掲示と印刷物配布の規制をするとし
ている。
街の美観風致の維持のための屋外広告物法・条例について,大阪市屋外広告物条
例事件判決(最大判昭和43年12月18日)は「公共の福祉」論により簡単に
合憲であるとしたが,「特別規制区域」における広告物規制は原則的に広告物掲示
を禁止するものであるから,屋外広告物法・条例よりも強力な規制である。表現の
自由が民主主義国家の基盤をなし,国民の基本的人権のうちでもとりわけ重要な
ものであるということも踏まえれば,より緻密な合憲性の判断が必要であろう。

さらに,「特別規制区域の歴史的な環境を向上させるものと認められる」という
許可基準が,表現の自由を規制する法令の定めとして,あるいは,刑罰法規の構
成要件の一部を定めるものとして,不明確に過ぎないかも検討しなければならな
い。この点は,徳島市公安条例事件判決(最大判昭和50年9月10日)の基準を
参考にすべきであろう。

また,合憲限定解釈を試みるのであれば,表現の自由を規制する法律の合憲限定解釈

についての税関検査事件判決(最大判昭和59年12月12日)の判示が参考になろう。 

 

令和2年度

本問は,犯罪被害者等の私生活の平穏の確保を目的とする取材の自由の制限につ
いて,その憲法適合性を問うものである。取材の自由を,関連判例も参照しつつ,
表現の自由との関係で適切に位置付けた上で,その制約の憲法適合性に関する判断
枠組みを的確に定立し,本問の立法が憲法に適合するか否かについて,その目的と
手段を評価して判断することが求められる。
 

 

 

 

令和4年度の出題予想

・出題予想としては、外国人の人権、未成年者の人権、平等権(14条)、信教の自由・宗教活動への規制(霊感商法規制など)、政教分離参政権選挙制度・政党、生存権、財産権(29条)、通信の秘密、条例制定権の限界、部分社会の法理、裁判官の活動や表現の自由あたりから出題がありそうです。

・なお、表現の自由は、表現の類型や規制手法を変えて、高頻度で出題されますので、いつ出題されてもおかしくない(対策必須)です。

・時事問題的に感染症規制関連の出題もあるかもしれませんが、すでにロースクール入試等で見かけるので、可能性は低いのではないかと思います。

 

・いずれにせよ、その場で考えさせるタイプの問題になるので、各権利の趣旨、重要判例の内容、および問題文の状況をしっかり理解したうえで、論理的・合理的な解釈を行うよう心がけましょう!

 

なお、司法試験の出題は、主として学者委員が問題案を持ち寄り、投票・議論等を経て決まります。ですので、学者委員の関心や考え方を知っておくことは有益です。

 

学者委員のプロフィールや著作等については、下記記事も参考にしてみてください(私の上記出題予想もこれを一定程度踏まえています)。

kaishaho.hatenablog.jp

 

 

 

今回の記事は以上です。本記事がみなさんの参考になれば幸いです(*^-^*)

それではまた!

他の科目の出題予想については下記記事をご覧ください。

 

kaishaho.hatenablog.jp

 

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