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2023年(令和5年)予備試験考査委員(商法学者)の分析

こんにちは、コポローです。

今日は、商法の予備試験考査員(学者枠)について、紹介したいと思います。


予備試験の出題は、司法試験の出題と同様、主として学者委員が問題案を持ち寄り、議論等を経て決まります。


ですので、学者委員の関心や考え方を知っておくことは有益です。
以下では、2023年の予備試験委員(商法学者)3名について、専門分野や著作を紹介します。

   

 

 

 

①髙橋美加 立教教授

東大卒。

多様な分野において論文を執筆されていますが、商業使用人、取締役の義務と責任あたりが比較的多いです。

 

最近の著作

 

「商業使用人の代理権」規定は必要か 法学教室 (505) 96-101, 2022-10

商業使用人の代理権 : 平成2年最高裁判決のその後 民商法雑誌 158 (1), 64-84, 2022-04

「事業者間取引である消費貸借契約の期限前返済特約の有効性[東京地裁平成31.3.20判決]」ジュリスト (1561), 110-113, 2021-08

「商品取引員である会社の取締役の内部管理体制整備義務違反[名古屋地裁平成30.11.8判決] 」私法判例リマークス : 判例評論 (60), 90-93, 2020

「『使用人』の外延 : 権限規定と従属性 」立教法学(2020)101号74頁

「会社補償・役員賠償責任保険に関する最近の会社法の議論」日本台湾法律家協会雑誌 (16), 22-47, 2019

判例評釈)匿名組合営業者の善管注意義務[最高裁平成28.9.6判決]ジュリスト1528号107頁(2019)

「建設的な対話の場としての株主総会とその環境整備の進展 : 「二〇一六年版株主総会白書」を読んで」旬刊商事法務 (2121), 4-13, 2016-12-25

「架空のコンサルティング契約の認定と取締役の善管注意義務違反[名古屋地裁平成27.6.30判決]」ジュリスト (1495), 115-118, 2016-07

 

髙橋先生ご執筆(共著)の教科書 

 

 

☝非常に分かりやすく、かゆいところにも手が行き届いていて、司法試験や予備試験に最適です。

   

 

 

 

 

②笠原武朗 九州大学教授

東大卒。指導教授は岩原紳作先生。

主な研究領域は、会社役員の責任(423条)・組織再編です。

 

最近の論文等

会社法判例速報 手続規制の対象たる利益相反取引に関する取締役の責任[東京高判令和4.7.13] ジュリスト  (1582) 2-3, 2023-04

会社法判例速報 表見支配人による債権譲渡が公序良俗違反により無効とされた事例[札幌高判令和4.7.7] ジュリスト(1579) 2-3, 2023-01

「キャッシュ・アウト」旬刊商事法務  (2303) 43-54, 2022-08-25

「現物出資・財産引受け・事後設立」砂田太士ほか編『会社法の改正課題』2021

「全部取得条項付種類株式制度はなお必要か」久保大作ほか編『𠮷本健一先生古稀記念論文集 企業金融・資本市場の法規制』29頁(2020)

「会社分割における債権者保護と信義則[最高裁第三小法廷平成29.12.19決定]」私法判例リマークス : 判例評論 (58), 94-97, 2019

「会社分割における債権者異議手続と詐害行為取消し・否認・法人格否認」, 徳本穰編集代表『会社法の到達点と展望 森淳二朗先生退職記念論文集』51頁(法律文化社、2018)
判例評釈)株式交換完全子会社における反対株主の株式買取請求権の行使が効力発生日後に撤回された場合に、当該会社は買取請求に係る株式の効力発生日における価格相当額を返還すべきであるとされた事例[東京高裁平28.7.6判決] (判例評論(第714号)) 判例時報 (2371), 153-159, 2018

「組織再編行為における対価の不均衡と無効の訴え」黒沼悦郎=藤田友敬編『企業法の進路 江頭憲治郎先生古稀記念』469頁(2017)

 

 

笠原先生ご執筆(共著)の教科書↓ 

 

☝さきほどの髙橋先生のところでも出てきました。

予備試験受験生はマストバイといっても過言ではありません!

 

 

 

☝易しめの基本書です。入門書としてはもちろん、基礎の復習にも良いと思います。

※レビュー抜粋

「学習する中で、最大の障害になったのが会社法でした。SNSで評価が高い基本書を数冊読みましたが、なぜこのような制度が採用されているのか、また、具体例に関する記載が不足しているように感じられ、全く面白いと感じることができず、このため完読することができませんでした。
 会社法に関しては、丸暗記するしかないのかとかなり絶望的になっていたときに出会ったのが標記の本でした。この本は、薄いながら制度の趣旨や具体例が丁寧に書かれており(ただし組織再編に関してだけはそのような記載がなく、他の基本書(主に、会社法大要)で補う必要がありましたが)、完読することができたし、3回、回すことができました。おかげさまで、会社法が面白いと感じられるまでになりました。」

 

 

 

 

☝笠原先生は、株式交付 について執筆されています!

株式交付は難解かつ、比較的試験に出しやすいと思います。 

③行岡睦彦 神戸大准教授

令和5年から予備試験考査委員になりました。

東大卒。指導教授は神作先生。

アメリカ法系(ドイツ法も)。

主な研究領域は、社債・新株発行(資金調達)・金商法関連株主総会関係の著作も少なくないです。

 

最近の論文等

株主総会における議決権行使に関する問題点の検討――書面投票・電子投票と「出席」・委任状勧誘に関する論点整理――2022年12月, 旬刊商事法務, (2314), 4 ~14

・令和元年会社法改正の意義(7)社債の管理に関する会社法改正の意義と課題2020年07月, 旬刊商事法務, 2235, 13 - 22
・(判批)会計限定監査役の任務の内容[最判令和3年7月19日判時2514号13頁]2022年08月, 民商法雑誌, 158 (3), 718 - 722

・(判批)代表取締役就任の不実登記と会社の責任[東京地裁平成28.3.29判決]2020年04月, 旬刊商事法務, 2228, 57 - 62

・(判批)事前の招集通知の欠缺と株主総会決議不存在[東京地判令和元年5月20日金判1571号47頁]2020年04月, 令和元年度重要判例解説 ジュリスト臨時増刊号(No.1544), 92 - 93
・(判批)転換社債型新株予約権付社債の有利発行該当性[東京地判平成30年9月20日金判1554号40頁]2019年07月, 私法判例リマークス, 59, 78 - 81
代表取締役を解職する取締役会の招集通知の瑕疵と決議の効力[東京地裁平成29.4.13判決]
2019年04月, ジュリスト, 1530, 119 - 122

 

教科書等はまだ書かれていません。というか、まだ准教授なのに予備試験考査委員に就任とは驚きです。

 

なお、研究書としては、下記の社債の本があります。

 

 

 

上記3先生の論文や判例評釈(百選の解説)等を見かけたら、積極的に読んでいきましょう! 

それではまた次回!!

 

 

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