こんにちは、コポローです。
今回は、労働法の司法試験考査員(学者枠)を紹介します。
司法試験の出題は、主として学者委員が問題案を持ち寄り、議論等を経て決まります。ですので、学者委員の関心や考え方を知っておくことは有益です。
以下では、2022年の司法試験委員(労働法学者)2名について、専門分野や著作を紹介します。
①竹 内 寿 (早稲田大学教授)
令和5年度から司法試験考査委員です。(旧姓 奥野)
東大卒。
専門は「労働者の概念,使用者の概念,労働者の団体行動権の意義,従業員代表制」 とのこと。
最近の論文等
『働く社会の変容と生活保障の法 : 島田陽一先生古稀記念論集』
第4章 自営的就業者の団体交渉 竹内(奥野)寿
1 はじめに
2 労組法上の労働者としての保護の可能性
(1)労組法上の労働者性についての判例等の状況
(2)プラットフォーム就業者をめぐる議論
(3)コンビニエンスストアのオーナーをめぐる議論
3 労組法上の労働者ではないとしたうえでの保護をめぐる議論
(1)中小企業等協同組合法の下での交渉
(2)憲法 28 条の勤労者としての保護の可能性
4 労働法と独禁法との関係をめぐる議論
5 むすび
・(判例評釈)「雇用当初から付されていた5年を超えないとの更新上限条項の効力―日本通運事件」ジュリスト1568号(2022年)126-129頁 2022年03月
・(判例評釈)「集団的労働関係における労働者」村中孝史=荒木尚志編『労働判例百選第10版』(2022年)8-9頁 2022年01月
・「『ジョブ型雇用』が日本の労働法にもたらす影響」日本労働研究雑誌739号(2022年)32-39頁 2022年01月
・(判例評釈)「法定外年休について使用者が法定年休部分とそれ以外の部分を区別せずにした時季指定の効力―シェーンコーポレーション事件」ジュリスト1557号(令和2年度重要判例解説)(2021年)180-181頁 2021年04月
・「職場における労働者代表制―その一環としての従業員代表制の立法整備を考える」日本労働研究雑誌703号(2019年)18-26頁 2019年01月
竹内先生の著作(共著)はこちらです☟
☝より詳細な教科書です。2022年に第3版が出ました。
②水島郁子(大阪大学理事・副学長!)
令和4年度から司法試験考査委員に加わりました。
京都大学卒。ドイツ法系。
幅広く研究されており、専門はやや絞りにくいですが、あえていえば、働き方改革、安全配慮義務あたりでしょうか。
最近の論文等
「プラットフォームビジネスの展開と法規制の動向(8)プラットフォーム型就労者の安全・健康とプラットフォーマーの責任」 NBL (1211) 64-69, 2022-02-01
「感染症リスクと労働者の安全 」法律時報 93(1), 1-3, 2021-01
「フランチャイジーの労働者性」中央労働時報 (1271), 4-18, 2021-03
「雇用社会の変容と社会保障法制の役割 (特集 雇用社会の変容と社会保障法(その1))」社会保障法研究 (13), 63-85, 2021-01
「有期契約労働者が定年退職後に再雇用された者であることは、労働契約法20条の『その他の事情』として考慮される事情に当たるとした事例[最高裁平30.6.1判決] (判例評論(第730号))」判例時報 (2421), 165-171, 2019-12-01
「時給制の有期アルバイト職員への賞与不支給と労働契約法20条[大阪高裁平成31.2.15判決]」新・判例解説watch : 速報判例解説 25, 261-264, 2019-10
「子会社従業員のセクシュアルハラスメント相談等に関するグループ親会社の責任 : イビデン事件(最一小判平成三〇年二月一五日集民二五八号四三頁」阪大法学69(1), 131-145, 2019-05
教科書等は執筆されていないようです。